開幕前に新型コロナ禍襲来…球界大御所が緊急提言「コミッショナー主導で全選手の(抗体、PCR)検査を義務化すべき」
今回、まったく無症状だった坂本、大城の新型コロナウイルス感染が見つかったのは、巨人が5月下旬に1、2、3軍の監督、コーチ、選手、関係者218人に対して行った抗体検査の結果だった。過去に感染した痕跡を示す「IgG抗体」陽性の反応が4人にあり「慎重を期すため」PCR検査を実施したところ坂本、大城に「微陽性」反応が出た。 無症状感染者をあぶりだす手段として抗体検査が有効であることを実証した。 NPBとJリーグが共同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」のメンバーで政府の専門家会議にも参加している舘田一博・東邦大教授も、巨人を通じて「今回の検査によって抗体検査をウイルス・キャリアーのスクリーニングに応用できる可能性が示唆された。抗体検査でスクリーニングし、陽性者に対してPCR検査を実施するという対応も考えて良いのではないか」とコメントしている。 実は、第二波が起きている北九州市でも3日まで12日間の感染者124人中、69人が無症状感染者だという報告がある。これも自治体が積極的にPCR検査を実施した結果、無症状感染者をみつけだしたものだ。 プロ野球界が開幕後にチーム内に感染者が出て、それがクラスター化してしまうというリスクを回避し、感染予防の先手を打つためには、広岡氏が提言するように、定期的な抗体検査、PCR検査を実施するしかない。だが、現状は、すべて球団任せ。ソフトバンクと巨人が抗体検査を実施。広島が定期的なPCR検査導入の検討を明らかにしたが、NPBが主導して抗体検査、PCR検査を義務化しているわけではない。 5月22日に斉藤惇コミッショナーは、抗体検査、PCR検査などの実施に関して「検討する。現実は希望者になるかもしれないが、やれるのならやりたい。ただ正確性など非常に難しい問題がある。どうしたらいいのかを検討して、出来るだけ事前検査を選手、スタッフが受けたという形でやれたらなという希望は持っている」と語っていたが、NPBとして明確な方針を打ち出せないまま開幕が決まった。