乳がんのしこりは「痛みなしがほとんど」 医師がしこりの良性・悪性の違いを解説
乳がん(悪性腫瘍)じゃないのに胸にしこりができる・しこりがある症状の対処法と治療法
編集部: 胸にしこりがある場合には、どうしたら良いでしょうか。 朴先生: できるだけ早く乳腺科や乳腺外科などを受診してください。「痛みがないから大丈夫」と考える人も多いのですが、実際、乳がんのしこりは痛みを伴わないケースがほとんどです。自己判断せず、必ず専門医の診察を受けましょう。 編集部: 医療機関ではどのような検査が行われるのですか? 朴先生: 胸にしこりがある場合、また、健康診断や人間ドックなどで「要精密検査」と言われた場合には、乳腺超音波検査、マンモグラフィ、細胞診、針生検などを必要に応じて行います。 編集部: しこりはどのようにして治療するのですか? 朴先生: たとえば乳腺症の場合は、月経周期に伴って痛みが増減するので基本的に治療の必要はありません。ただし痛みがひどい場合には鎮痛剤などを用います。 編集部: ほかの疾患についてはどうですか? 朴先生: 乳腺線維腺腫の場合、しこりが大きくなく、症状がなければ治療の必要はありません。しかし、まれに乳腺線維腺腫によく似た乳がんもありますので、疑いがある場合には組織検査を行い、適切に対処する必要があります。 編集部: 疾患によって治療法が異なるのですね。 朴先生: 乳腺症のように経過観察で良いものもありますが、なかには乳がんとの見分けが難しいものや、再発するもの、大きくなるものなどがあり、状況に応じて適切な処置をとる必要があります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 朴先生: どんなに小さなしこりでも、「症状がないから」といって放置するのは危険です。ほとんどが良性とはいえ、悪性のがんである場合もあるため、しこりを見つけた場合には自己判断せず、必ず専門医を受診してください。 しこりに限らず、胸に関することで困っていることや悩んでいることがあれば、一度相談してみましょう。
編集部まとめ
しこりを見つけたら、誰でもドキッとするもの。しかし「まだ小さいから大丈夫」「痛みがないから様子を見よう」といって放置すると、知らない間に症状が進行してしまうことも……。 しこりを見つけたら早めに専門医に相談を。また定期的にしこりがないかどうか、セルフチェックをすることも忘れないようにしましょう。
【この記事の監修医師】 朴 圭一 先生(Hanaクリニック乳腺外科) 慶應義塾大学医学部卒業。王子生協病院内科、北里大学形成外科・美容外科、北里大学病院救命救急・災害医療センター、東京共済病院消化器・一般外科、横浜医療センター整形外科、上尾中央総合病院形成外科・美容外科、北信総合病院形成外科・美容外科、横須賀共済病院形成外科、東京共済病院乳腺科を経て現職。医学博士、日本乳癌学会乳腺専門医、日本形成外科学会専門医、日本がん治療認定医、検診マンモグラフィ読影認定医師、乳がん検診超音波検査実施・判定医師、日本医師会認定産業医。
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