「必ず来る」フェンシングがパリ五輪でブレークした背景は 医科学・情報支援のトップが語る日本のメダルラッシュ
「2016年からJOC、JSC、競技団体が合同で4年、8年先を見据えた強化プランづくりを始めた。馬術は日本中央競馬会(JRA)などの支援に加え、中長期的な強化が実を結んだと思う。スケートボードなども同じ取り組みをしている。オールジャパン体制の仕組みは絶対に機能している」 ―2028年ロサンゼルス五輪の鍵は。 「(複数のメダルを獲得する)マルチメダリスト、マルチメダル競技をつくれるかどうか。(メダル総数トップの)米国は陸上、競泳が強い。パリ五輪で競泳男子のマルシャン(フランス)が1人で四つの金メダルを取ったのが典型例。エースを育てられるかどうかは大きい」 ―今後力を入れていく取り組みは。 「『ビハインド・ザ・シーン』と呼んで、ライバルとなる他国がどんなサポートをしているかといった舞台裏を調査している。今後の開催地関係者とミーティングし、選手村の使い方などいろいろな情報を集めている」
―スポーツ支援でかなりの医科学的な知見が蓄積されてきた。将来の活用は。 「成果をどう還元していくかが大切。私たちは健康や体力増進など国民の生活の質向上につなげるため、知見を地域に展開しようとしている。大学生、高校生、中学生、小学生、そして高齢者にも届けられれば、スポーツ研究に国費を費やすことがいかに重要かを示せる。それが、私たちが力を入れている『ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ』という考え方だ」 × × くきどめ・たけし スポーツ庁参与、JOC情報戦略部門部門長、日本レスリング協会ナショナルコーチ兼テクニカルディレクターなどを歴任。筑波大大学院体育研究科、法大大学院政策科学専攻修了。1965年12月28日生まれの58歳。和歌山県出身。