「ヘビースモーカーの妻たちの肺がんリスク」論文が世界でスルーされた悲しい理由
● サプリ広告は世にあふれるが サプリメントをとるべきか? メディアにはサプリメントのコマーシャルがあふれている。ニンニク、シジミ、青汁、キノコ、ゴマ、朝鮮人参、食物繊維から、コラーゲン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、コエンザイムQ、ビタミン、NMN、アミノ酸、ヒアルロン酸のような化学物質に至るまで、健康のためのサプリと健康食品の広告が繰り返される。 いかにも効きそうな感じを与える商品の名前と、元気なお年寄りが笑顔で歩く画面。飲めばこんなに元気になりますよと宣伝する。そんなに元気になるのなら飲んでみようかなと思ってしまうだろう。有効性はどこまで確認されているのであろうか。 コラーゲンも同じだ。コラーゲンの入っている化粧品を使えばつるつるの肌になるという。 しかし、コラーゲンは皮膚からは吸収されないので、つるつるになるのは、ベトベトによる保湿効果以外には考えられない。 コラーゲンを食べたり飲んだりしたところで、それが、膝関節に届いて、膝の動きをよくするなんてあり得ない。だいたい、食べたコラーゲンがそのまま血中に入れば、コラーゲンが血管に詰まって、脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまうだろう。食べたものは、一度分解されてから吸収されるという大原則があるのだ。
● 特定保健用食品(トクホ)と 機能性表示食品の違いとは 健康の効果を謳うためには、「特定保健用食品(トクホ)」か、「機能性表示食品」でなければならない。 ・特定保健用食品(トクホ):実際に人で効果が確認されている。審査の上、承認。 ・機能性表示食品:少しでも効果があるという証拠があれば、届け出だけで承認される。 「トクホ」はしっかりしたデータと審査の下に許可されるので信用できるが、「機能性表示食品」は1つでも都合のよいデータがあれば、通ってしまう。客観的な評価など必要ない。健康問題が生じたときの対策が決まっていないため、「紅麹」のような事件が起こった。 そもそも、機能性表示食品が出てきたのは、2013年6月、当時の安倍総理がアベノミクスの一環として、「健康食品の機能性表示を解禁します」と宣言したのが始まりである。 人でテストを繰り返す「トクホ」には資金が必要なので、資金のないところにもチャンスを与えるために「機能性表示食品」が作られた。 しかし、現実には、ウイスキーメーカーのSのような大企業が、人でのテストを省略して、その資金を広告に回して稼いでいるのだ。ちなみに、S社の健康食品、サプリ36品中「トクホ」はひとつのみ、「機能性表示食品」は8品目のみである。残り27には何の証拠もないことになる。 高いお金を出して、サプリに頼る必要もない。食事に気をつけ、新鮮な空気を肺いっぱいに吸い込む。それが一番だ。
黒木登志夫