佐津川愛美「俳優がウチワで扇いでもらえるのは偉いからじゃない」。照明、小道具、演出ーープロ達へのインタビューで知る"映画という共同作業の魅力"【インタビュー】
佐津川:私が考える俳優の役割は、台本に書かれている世界観を、自分の体や声を使って体現することです。どういう気持ちになってこの台詞を言うのかとか、こう言っているけど本当は違う気持ちを感じているとか、共演者の方と考えて表現していくことだと思います。いろんな部署の方が舞台を作ってくださったり、衣装やメイクでキャラクターを作ってくださったりした上で、最終的に自分の体を使って表現する人。俳優部って唯一、何も機材がなくて、自分の体が大事な仕事道具だから、とにかく体調管理が大事。そしてコミュニケーションが重要な仕事です。 ――では、俳優になるために身に付けたほうがいい力は? 佐津川:台本を読む力はあったほうがいいと思います。私、子どもの頃から、登場人物の気持ちを考えましょうっていう現代文の授業が好きだったんです。そういう国語力と想像力は大事だと思います。あとは、とにかくいろんな経験をすること。この仕事のいいところは、つらい経験も悲しい思い出も、すべて糧になって、いつか使えるんです(笑)。学校生活や日常をちゃんと生きることも、演じる力につながると思います。
――佐津川愛美映画祭というご自身の名前を冠した映画祭を終えて今、どういう思いですか? 佐津川:私は表に立つのが苦手なので、本当は自分の名前がついた映画祭は恥ずかしくて(笑)。でも、開催したいって言ってくれた方とのご縁に応えたいっていう気持ちでここまで来ました。企画してくれたのが地元の後輩の女の子なんですが、私の映画祭をやりたいってずっと言ってくれていたんです。去年、私がたまたま、仕事と距離を置きたくなって休んでいたタイミングで会った時、「20周年の今、やるべきですよ! やりましょう!」って熱い思いを語ってくれて。それに対する感謝の気持ちで動き出しました。だから、改めて映画に向き合うきっかけをもらえたと思っています。気持ち的には休んでいたのを、「休んでちゃいけないな」って気持ちにさせてもらえたんです。 この映画祭をきっかけにできた本作りやワークショップもすごく楽しくて、「これが私のやりたいことだ」って思えました。映画の現場って楽しいですよって伝えられたことが、すごく嬉しかった。自分が好きなものを好きだって心から発信できたのは、20年で初めてだと思います。最初は映画祭だけのお話だったのが、子どもたちと映画を作れることになるなんて1年前は考えてもいなかったので、行動を起こすと広がっていくんだなって実感しました。 ――この経験は、佐津川さんのこの先の活動にも影響を与えそうでしょうか? 佐津川:資金を集めたりメールのやりとりをしたり、社会人としてのいろいろな経験ができました(笑)。その新しい世界を知れたのも楽しかったし、子どもに関わることがやりたいという気持ちを形にできたので、この先につなげていきたいです。映画業界を良くしたいという気持ちがあるので、これからも「こういう楽しい世界があるんだよ」と伝えて、映画を身近に感じてもらえるような発信をしていきたいです。 取材・文=川辺美希 撮影=水津惣一郎 書籍『みんなで映画をつくってます』 佐津川 愛美 販売価格:2,000円(税込) シネマテークたかさき オンラインショップにて販売中https://ctqtakasaki.shop-pro.jp/?pid=183273279
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