「がん宣告」後すぐに<身辺整理>を始めた森永卓郎「整理業者は費用も質もピンキリ。売れるものもあると思ったが現実は…」
◆買取査定の現実 義母の荷物は最終的に、2トン車5台分にも及んだ。そして整理業者は、それを産業廃棄物処理業者に持ち込む。 そこでも処分費用を請求される。結局、義母の場合は、総額数十万円のコストがかかった。 「こんなに荷物の多い人はいませんよね」という私の問いかけに、整理業者は「いや結構たくさんいらっしゃいますよ」と答えた。 「売れるものもあるだろう」と思われるかもしれない。 しかし、売れるものなど、ほとんどないのが現実だ。 例えば、義母はたくさんの着物を所有していたが、買い取り業者に持ち込んだところ、査定額がつかなかった。 値段がつくのは、大島紬の名品といった貴重品だけだ。普通の家にそんなものはない。 義母の持ち物で、唯一買い取ってもらえたのは、金のアクセサリーだけで、それも純金ではなかったので、何千円かの価値しかなかった。
◆経費を節約するためには ただモノを処分するためにかかる経費を節約する方法はある。 最初からモノを持たないことだ。 新卒で入社した専売公社に勤めていた頃、先輩が転勤になり、引っ越しの手伝いで社宅を訪ねたときのことだ。 家族持ちだというのにビックリするほどモノがなかった。 当初はどうしてこんなにモノが少ないのだろうと不思議に思っていたのだが、当時の専売公社では、頻繁に転勤があるため、防御策としてモノを持たないのだと気づいた。 突然転勤を命じられ、2週間後には新任地で仕事を始めないといけない。しかも多い人は、毎年のように転勤を命じられる。そうなったら引っ越しに時間をかけてはいられない。 モノがなければないほど楽なのだ。 逆にいえば、モノはなくても暮らせるということだ。 日頃から最低限のモノで暮らしていれば、一気に断捨離をする必要もないし、モノを捨てるための経費もかからないのだ。 ※本稿は、『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(興陽館)の一部を再編集したものです。
森永卓郎
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