【まるで天空に続く散歩道】ダイナミックな爆裂火口、赤土のマーブルは必見! 長野県・硫黄岳の旅へ
ウェルネスなトリップを提案する本連載では、幅広い知見を生かしてアウトドアカルチャーを提案するレーベル「焚火遊道」の猪野正哉さん、田中行太さんがさまざまな旅の楽しみ方をコーディネート。 【画像】後ろを振り返ると、横岳、赤岳にかかっていた靄が薄く。絶景を写真ですべて見る! 第5弾となる今回は、連載初の山小屋泊を敢行。長野県・八ヶ岳にある赤岳鉱泉に一泊し、硫黄岳の山頂を目指します。
朝靄が立ち込める中、幻想的なトレイル歩き
赤岳鉱泉から硫黄岳までのコースタイムは約3時間。樹林帯を登り、「赤岩の頭」と呼ばれる尾根のポイントを通って山頂へと向かいます。 日もまだ昇らぬ早朝に出発。まだ眠りのなかにある静かな森からはつんとした冷たい空気が漂っていて、そこそこ勾配のある坂も気持ちよく登れます。 徐々に辺りが白けてくると、木の隙間から綿菓子のような雲海が左右いっぱいに広がっているのが見える。もう少しすすんだところでは、朝靄がかかった南八ヶ岳のシンボル・大同心も見えてとても幻想的です。 「訪れる季節、時間によって表情がまったく異なるのが山の魅力。刻々と変わり続けるその姿を一瞬でも逃したくないから、山ではついたくさん写真を撮ってしまいます」と西原さん。 樹林帯を1時間半ほど登り終え、周りに生えていた高木が背の低いハイマツの群生に変わると尾根に近づいてきたサイン。視界が一気に開ける赤岩の頭まで、あと少しです。
赤土のマーブルと茅野ブルーを眺めながら朝食を
少し広めの広場になっている赤岩の頭で、山頂アタック直前の小休憩を取ることに。 硫黄岳の火山らしい赤土と白砂が描くマーブル模様や、眼下の茅野の街並みが青々ときらめく様を眺めながら、赤岳鉱泉で作ってもらった朝食をいただきます。 朝食に手渡されたのは、もっちりしたもち米にゴロゴロのチャーシューが入ったビッグサイズの中華ちまき(それも2つ! )。 エナジーチャージは十分完了。ちまきゆえに、山で手が汚れないのもうれしいポイントです。
標高2760mへ続く、天空の散歩道
尾根を歩き始めた瞬間、雲の切れ間に青い空がのぞき、朝靄のベールに包まれていた南八ヶ岳の輪郭もあらわになってきました。前方にはこれまで見えなかった北八ヶ岳側の山まで登場! こうしてずっと遠くに街が、自分と同じ目線にいろんな山のてっぺんが並んでいると、空の上にいるような不思議な感覚になってくる。まるで天空の散歩道を歩いているようです。 最後にあるごろついた岩場をトラバースしたらゴール。道幅が狭く、切り立ったポイントが一箇所だけあるので、慎重に通過します。 ついに山頂に到着。視界を遮るものは何もなく、360°の絶景を堪能しよう! という場面で、またしても靄のなかに……。気を取り直して、山頂をゆっくり散策することにします。