一向に無くならない撮り鉄事件……撮りバスファンだって他人事じゃないゾ!!
■撮りバスの世界
翻って撮りバスの世界はどうだろうか。撮り鉄と比較して道路上を走るバスは道路脇から撮影するので、鉄道ほどの危険はない。歩道上からでもいいし、歩道橋から見下ろしても撮影はできる。速度も高速バスを高速道路わきから撮影でもしない限りは遅いので、一般論としては鉄道ほど高級な機材は必要ない。 ただし歩行者の邪魔にならないように気を付けたい。 難しさといえば、目的のバスが走行する車線が決まっていないので、他の交通との「被り」の危険性は出たとこ勝負という面はある。それに最近は行先表示がLED式がほとんどで、実は人の目にはわからないほど高速で点滅しているので、シャッタースピードが速いとうまく写らない。 概ね1/125秒以下だと大丈夫なケースが多いが、あまり遅くするとバスそのものがブレて写ってしまうジレンマがある。昼間の明るい路面で1/125秒以下で撮影しようとすると明るすぎるので、絞りを絞ってさらに感度を落とす等の工夫が必要だ。絞りのないスマホだと白飛びしてしまうのも困りものだ。 大都市のバスターミナル周辺や、景色の良い地方では撮りバスをする姿をよく見かける。有名なのはビッグサイトでのコミケだ。都営バスが大量のバスを投入して臨時便を出すが、普段は絶対に来ない営業所のバスがビッグサイトから出てくるので、コミケに行くのではなくて出てきたバスを撮影しようとする撮りバスさんが多く沿線に集まる。 線路脇なら撮り鉄さんかとすぐにわかるが、ただの道路にカメラが並ぶと何が来るのかと、知らない人はちょっと引いてしまうかもしれない。歩道や歩道橋からカメラをもって道路を狙っている人を見かけたら、高確率で撮りバスさんだと思って見守るか、「何が来るんですか?」と声をかけてみていただきたい。時間の許す限り「語り尽くして」くれるはずだ。
■趣味でも技術継承が必要?
このような趣味の世界でも公共の場で行う限りは、最低限のマナーは必要なのは言うまでもない。昔はマナーを含めて自然とできていた技術の継承が途絶えているのが最近の事件の一因だと考えれば、問題のない状態に戻すのは難しいだろう。 結局は鉄道事業者が危険とトラブル防止のために、様々な規制をしなければならなくなり、自らの趣味の世界を縮小させているに等しい状況に陥ってしまう。バスの世界でも因果関係は不明なものの東京の鍛冶橋駐車場のように明確に撮影禁止をうたっている場所もある。楽しく気持ちよく趣味に没頭できるように、みんながほんの少し考えて意識する必要がある時期に来ているのかもしれない。