『光る君へ』貴族社会から武士社会への兆し、「刀伊の入寇」から日本を救った武者たちはなぜ報われなかったのか
■ 賢子の「光る女君」宣言、倫子の恐怖の問いかけにまひろは… ドラマの後半では、大宰府から無事に帰ってきたまひろに、娘の賢子が「幸せなど幻なのだと、母上の物語を読んで知りました」と『源氏物語』の感想を伝えている。 どうせそうであるならば、「光る女君となって生きようかしら」と考えたことを母に明かした。 母親としては止めるべきだろうが、まひろは「よいではないの」と何だか楽しそうだ。実際の賢子は恋多き女として、宮中で有望な貴公子たちの心を次から次へとつかむ。最終回では、賢子の成長ぶりがどこまで見られるのか、楽しみにしたい。 とはいえ、最終回を迎えるに当たって、視聴者が一番気になっているのは、道長の妻・倫子の問いかけにまひろがどう答えるかだろう。道長と久々の再会もつかの間に、倫子に呼び出されたまひろは、こう問いかけられたのだ。 「それで……あなたと殿の仲はいつからなの。私が気付いていないとでも思っていた?」 最終回のタイトルは「物語の先に」。15分拡大版となる。この連載も最後までお楽しみいただきたい。 【参考文献】 『新潮日本古典集成〈新装版〉紫式部日記 紫式部集』(山本利達校注、新潮社) 『藤原道長「御堂関白記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫)『藤原行成「権記」全現代語訳』(倉本一宏訳、講談社学術文庫) 『現代語訳 小右記』(倉本一宏編、吉川弘文館) 『紫式部』(今井源衛著、吉川弘文館) 『藤原道長』(山中裕著、吉川弘文館) 『紫式部と藤原道長』(倉本一宏著、講談社現代新書) 『偉人名言迷言事典』(真山知幸著、笠間書院)
真山 知幸