「かわいそう」だから…「がんで死んだウサギ」で知る主人の間違った愛情 「ニンジンが好物」「かよわい」の誤解が招く悲劇
別の意味からも、避妊は大切です。 ウサギは交尾をするとほぼ100%妊娠するうえ、一度の出産で1~10匹の子どもを産む、非常に繁殖力の高い動物です。 過去には、「ペットとして飼われていた2匹のウサギがわずか2年足らずで200匹以上に繁殖。多頭飼育崩壊(ペットの数が増えすぎて、適切な飼育ができなくなった状況)を起こした」というニュースもありました。 これは雌雄で飼っていた場合の話ですが、万が一にも多頭飼育崩壊を起こさないためにも、やはり避妊手術は行うべきでしょう。
■さみしくなると死んでしまうのか? 「ウサギはさみしくなると死んでしまう」というのも、昔からまことしやかに語られています。 たしかに、ウサギは本来、群れで暮らしている社会性のある動物ですから、飼い主さんとのコミュニケーションをとる時間が不足すると、それがストレスになるようです。 ストレスだけが原因ではありませんが、ストレス、不正咬合、不適切な餌などいろいろな要因が重なって、消化管の働きが悪くなる「消化管うっ滞」という病気になることがあります。
消化管うっ滞も子宮がんと並んで死亡率が高い病気ですが、ストレスだけでウサギが死んでしまうわけではありません。統計的には、ウサギがほかの動物と比較して病気にかかりやすいことはいえません。 草食動物であるウサギは、仮に体に不調があっても、極力、異変をさとらせないように振る舞います。これは、弱っている姿を見せて、捕食者に襲われないようにするためです。 見た目では体調がわかりにくいので、症状がはっきりと出てくるときには、先ほど述べたような子宮がんや消化管うっ滞などの病気が末期まで進行しているということが多いのです。
そうやって亡くなったとき、日頃からあまり様子を見てあげていなかった飼い主さんは、「少しかまわないでいたら、突然死んでしまった。さみしくなったからではないか」と考えるのかもしれませんね。 ただ、ウサギもストレスは少ないに越したことはありません。飼い主さんは十分なコミュニケーションをとりながら、体や様子に異変はないか、日々しっかりと観察してあげましょう。 ■言葉で訴えることができない 動物は私たち人間と違って、頭が痛いとか、呼吸が苦しいとか、どうも食欲がないとか、体の不調を言葉で訴えることができません。