テレビ局がとんでもない宣伝費を投じ、大々的に打ち出した映画が大ゴケする今、正解は何? 西野亮廣によるマーケティング論。「よく見かける=接触回数」よりも、「思い入れがある=接触時間」の方が、お客さんの足を動かせる!
広告が昔よりも難しくなった! 「今の時代の戦いは、『思い入れ』を創造できるかどうかが全て」だ!
23万部のロングセラー『夢と金』の著者であり、今、ビジネスパーソンが追うべき人物の筆頭である西野亮廣さん。映画というのは、宣伝を打ちまくり、看板を出しまくり、面を取りまくることが宣伝手法の王道だったが、ここ数年、そのやり方が通じなくなってきたと言われている。そんな宣伝手法を取らずにヒットした映画『THE FIRST SLAM DUNK』にヒントがあるかもしれない⁉…と、今回は、目からウロコのマーケティング論。今回も、音声メディア「voicy」で配信中の「#西野さんの朝礼」から編集してお届けする。 【動画】西野さんの最新作、コマ撮り短編映画『ボトルジョージ』 今日は【『接触回数』と『接触時間』、大切なのはどっち?】です。
今、集客に求められているのは「思い入れ」なんじゃないか?
今日は最後にクラウドファンディングの案内をしたいのですが、そこに繋がる形で、マーケティングっぽい話をさせていただきます。 サロンメンバーさんなら御存知だと思いますが、僕が一昨年ぐらいから向き合っているテーマの1つです。 映画を作っていると、「大爆死」というあまり耳にしたくない言葉がイタズラに耳に飛び込んできます。 テレビ局が本腰を入れて、とんでもない製作費(広告宣伝費)を投じて、大々的に打ち出した映画が大ゴケする景色というのは昔から時々あったと思うのですが、最近、まわりの映画屋の話を聞いていると、「広告が昔よりも難しくなった」という話を皆してるんですね。 昔はそれこそ宣伝を打ちまくって、いろんなところに看板を出して、面を取りまくる…という札束の暴力的な広告宣伝がまだ効いていたけど、ここ数年は、その手法が全然効かないどころか、逆にそんなことをしてしまうと目の敵にされてしまう…みたいな空気になっているそうです。 何回もお客さんの目に触れさせて、「気にならさせる」手法を、マーケティングの世界では「単純接触効果」と呼んだりしますが、「接触回数を増やすだけでは集客に繋がらない」という結果が出てしまっているのが現代なのかもしれません。 それこそ、映画『THE FIRST SLAM DUNK』なんかは、接触回数がそれほど多かったイメージがありませんでしたが、記録的なヒットに繋がった。 「あのヒットをどう読み解き、言語化するか?」がカギな気がしていて、結論から言っちゃうと、今、集客に求められているのは「思い入れ」なんじゃないかと思っています。 あくまで現場の肌感ですが、「最近、よく見る」よりも「思い入れがある」の方がお客さんの足が動いていて…となると、マーケターとしては「どうすれば『思い入れ』というものを持っていただけるか?」と考えるわけですが、これはもう『接触回数』ではなく、『接触時間』でしかなさそうです。 「我が子のピアノの発表会をなんとしてでも観に行く親」のあの勢いは、『接触時間』の副作用でしかない。 今の時代の戦いは、あの「思い入れ」を創造できるかどうかが全てで、そうなってくると、作品の届け方は勿論のこと、作品の作り方から全て変わってくる。 それこそ「サプライズ」を見所にしてしまっている作品は繰り返し観られることが極端に減ってしまうので、『接触時間』が減り、『思い入れ』を創造しにくい。 他にも「思い入れが生まれやすい作品の性格」は挙げていけばキリが無いのですが、時間に限りがあるので割愛させていただきます。