我が子に知的障害の疑いがあり、どのように向き合っていけばよいかわからないという35歳の女性鴻上尚史が伝えた「大きな不安との向き合い方」の真意とは
我が子に知的障害の疑いがあり、どのように向き合っていけばよいかわからないという35歳の女性。心の準備ができておらず、産後うつにもなってしまったという。そんな女性に鴻上尚史が伝えた「大きな不安との向き合い方」の真意とは 【相談243 】 生まれたばかりの我が子に重度の知的障害の疑いがあり、不安で夜も眠れません(35歳 女性 ミルフィーユ) 毎回拝読しております。 おそらく障害児を産み、将来が不安でうつ病になりました。 去年1 人目の子を出産しました。現在11カ月です。その我が子に重度の知的障害があるのではないかと疑っています。 理由は、子どもの運動発達遅滞です。周りの子に比べて運動発達が著しく遅く、11カ月健診ではほとんどの問診項目で「できない」にマルすることになりました。あまりに発達が遅いため、個人的に学術論文を探していたところ、運動発達に遅れのある子( 具体的には9カ月までお座りできない子) は知的障害のある子が多いという文献を見つけました。 知的障害の子を持つ親になるという心の準備が出来ておらずかなり動揺してしまい、体重が1カ月で6キロ落ち、産後うつと診断されて、1カ月精神科病棟に入院しました。いまは退院しましたが、相変わらず子どもの成長が遅く心配は尽きず、大好きな仕事に復帰することも難しいほどで現在も休職中です。 大学病院には連れて行き、脳性麻痺や染色体異常ではないことはわかっています。毎日毎日、歩ける日はくるのか?喋れる日は来るのか?と考えては落ち込む日々です。今後の育児生活、こんなことで落ち込んでいたら心身ともに保たないぞ、と思いながらも悩むことを止められません。 最近は、こんなに苦しいのならば産まなければよかった、たとえ障害児でも受け入れると覚悟するまで産むべきではなかった、と後悔する日々です。どうしたらいいでしょうか。
【鴻上さんの答え】 ミルフィーユさん。大変ですね。毎日、大丈夫ですか? あまり眠れてないでしょうね。 ミルフィーユさんの文章を読んで、一番感じたことは、「すべて独りで抱え込んでいる」ということです。 ミルフィーユさんは、シングルマザーですか? 夫のことがまったくでてきませんが、もし、夫がいるなら、不安を夫と共有していますか? シングルマザーなら、ミルフィーユさんの親と語り合っていますか? 親と話せないなら、充分なカウンセリングは受けていますか? 不安は、独りで抱え込んでいると、どんどん大きくなります。 周りに頼りましょう。相談しましょう。グチりましょう。 ミルフィーユさん。ミルフィーユさんに、一番、話して欲しい人がいます。 それは、障害がある子供の母親や父親です。 世の中には、障害を持つ子供と共に生活している親がたくさんいます。 みんな、ミルフィーユさんと同じく、不安で悩んで苦しんだはずです。でも、今、前向きに子育てを続けている人が間違いなくいます。そんな人達に会いませんか? ネットで探せば、そういうネットワークは見つかるはずです。会いに行って、「自分の子供が障害児かもしれない」と感じてから何を考え、何を悩み、どうしたかを聞きませんか。 そして、不安を共有しませんか。
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