成人の8割が抱える「尿トラブル」 膣圧、男性機能の改善にも効果的な「簡単トレーニング」とは
大半の人が放置
ところが、その大半の方はトイレの近さを「年のせい」「もともとの体質」と思い込み、まさか自分が病気だとは夢にも思わない。過活動膀胱などは治療法のある「病気」ですから、もし頻尿で生活に支障を来しているのなら、放っておくのはもったいないことです。 そもそも頻尿には「昼の頻尿」と「夜の頻尿」があり、昼の頻尿は「朝起きてから夜寝るまでの排尿回数が8回以上」、夜の頻尿は「就寝後、1回以上トイレに起きる状態」と定義されます。ただ、頻尿は命に関わる病気ではない、いわゆる「QOL疾患」ですから、たとえば日中の排尿回数が8回以上でも生活に支障を感じていなければ気にする必要はありません。
まずはセルフケア
一方、いくらQOL疾患といっても、生活に支障を来すレベルの頻尿はなかなか厄介。とくに高齢者の場合、トイレを気にして外出がおっくうになり、有意義な老後はおろか、引きこもりがちになって、フレイルや寝たきりにつながってしまうことも珍しくありません。 さりとて、おしっこの悩みは他人に相談しづらいし、泌尿器科というのもなんだかハードルが高い。そんな人は、まずは2~3カ月、これから紹介する“セルフケア”を試してみてはいかがでしょうか。 セルフケアなんて気休めだと思う人もいるかもしれませんが、泌尿器科でも頻尿の1次療法は行動療法で、薬物による治療はあくまで2次療法。頻尿の治療には生活習慣の見直しやある種のトレーニングが非常に重要です。もし2~3カ月続けても症状が改善しないようであれば、前立腺肥大症や、場合によっては膀胱がんなど別の病気が隠れている可能性もありますから、そのときはお近くの泌尿器科を受診してみてください。
尿量などをつぶさに記録
セルフケアの第一歩は「排尿日誌」です。排尿日誌とは、その日のおしっこの時刻や量、水分の摂取量などを記入するもの。これによって1日の排尿回数や1回の尿量などが把握でき、尿トラブルの原因がかなり正確に分かります。 用意するのは、メモ用紙とペン、それから尿を計量するためのカップのみ。カップは500ミリリットル程度の容量がある使い古しの計量カップでもいいですし、ピクニックで使うような透明カップに50ミリリットルごとに目盛りをつけて使ってもかまいません。そうしておしっこのたびに尿をカップに取って量を計測するのです。起床直後の尿からつけ始め、就寝中もトイレに起きる人は、その際の尿量も記録しておきましょう。 また、尿漏れや尿失禁のある人は「いつ」「どのような状況で」それが起こったのかも書き留めておきます。一口に尿漏れと言っても、実はさまざまな種類があり、それが起こったタイミングや状況を記しておけば、自分の尿漏れがどのタイプかを簡単に診断できるのです。