突如告げられた“戦力外”…結婚1年目で「頭が真っ白に」 気丈に振舞う妻が「有難かった」【インタビュー】
プロ3年目で言い渡された契約満了、シーズン後にトライアウト経験
「試合に絡めていましたし、クラブへの愛着もあったのでここからどうなるんだろうっていうタイミングで契約満了になった時は、青天の霹靂というか、本当に頭が真っ白になるっていうのはこういうことなのかっていう感じで。やっぱりショックは大きかったです」 突然、言い渡された契約満了。先が見えなくなった衝撃と悔しさが入り混じる、何とも言えない感情で心は埋め尽くされていた。「ショックは大きかったですけど、わりと切り替えも早くて。逆境を力に変えていくところをポリシーにしてきましたし、力を証明するしかないっていう感じではありました」。 他クラブからのオファーはなく、その年の11月下旬に行われたJリーグの合同トライアウトに出場して、必死にアピールした。それでも声はかからず、現役を続けられるのかどうか、瀬戸際に立たされた。それから、約2週間後。代理人を通じて届いたのが、富山からのオファーだった。サッカー選手以外の“第二の人生”も考えず、強気なスタンスでいたことが功を奏したのか。「ほっとしたというのが一番でしたね」。吉報に安堵した当時をこう述懐した。 プロサッカー選手の平均寿命は25~26歳と言われる。「まだまだ成り上がる」とポジティブな思いを持ち続けたものの、当時25歳だった坪川の心中は穏やかでなかった。「契約満了になった時、一番不安にさせてたのは多分奥さんで……」。プロ入り後に出会い、支え続けてくれた妻への感謝は今でも強く抱いている。結婚1年目で迎えたまさかの契約満了。先行きが見えない中でも、気丈に振舞ってくれたという。 「僕よりも一番元気に過ごしてくれてたというか、僕よりもすごくエネルギッシュでポジティブに過ごしてくれていたので、そこはもう結構助かったなっていうのはあります。1人だと、やっぱりメンタル的に気持ちが下がっていっちゃうところで、やっぱり一緒にいてくれたのは、本当に有難かったですね」 紆余曲折を経て、5年目のプロ生活を歩む坪川には、「限界までレベルの高いところを目指してプレーし続けたい」という野望がある。幾多の困難を乗り越えた先に切り拓けたステージでこの先、どんなキャリアを描いていくのか。27歳の挑戦は続いていく。 [プロフィール] 坪川潤之(つぼかわ・ひろゆき)/1997年5月15日生まれ、北海道出身。矢板中央高校―東洋大学―AC長野パルセイロ―カターレ富山。2020年に東洋大から長野入り。同年6月の富山戦でJリーグデビューを飾る。22年シーズン後に契約満了となり長野を退団。翌年から富山へ完全移籍し、在籍2シーズン目を迎えている。
FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto