「トイレに駆け込んで嘔吐した」ブルーインパルスに憧れたプロ航空写真家が浴びた“壮絶すぎる洗礼”とは
ブルーインパルスの隊員が驚いた黒澤さんの“ある能力”とは?
――壮絶な“洗礼”ですね。 「その時の酔った感じが抜けなくて、その後も空撮のたびご飯も食べられないような状態が1年半続きました。さすがにこんなのびてるようなカメラマンを、ブルーインパルスの隊員のみなさんが今後乗せたいと思わないんじゃないかと不安になったこともあります。ですが、その思いを隊員のみなさんに率直に伝えると『何言ってんの、黒澤くん。何千時間乗ってる俺らだってたまには酔う時があるんだよ。まだ何十時間しか乗ってない黒澤くんが、あの中で写真を撮ってること自体が俺らにはびっくりだよ』と励ましてくれて……」 ――訓練を積んだパイロットでも酔う厳しい状況なんですね。 「それからは『あんなにグルグル回ってて絶対酔わないなんて無理。俺はその中で写真を撮ってるんだから自信を持とう』と考え方を変えました。そうしたら不思議と酔いがマシになってきて、今でも気持ち悪くなるときはありますが、支障をきたすほどではなくなりました。気の持ちようでここまで変わるのかと自分でも驚きました」 ――今回の写真集の読みどころを教えてください。 「今ではテレビでも特集が放送されたり、ブルーインパルスの知名度はかなり上がっていると思います。私たちが見ているブルーインパルスのアクロバット飛行が、隊員同士の信頼関係があってこそ成立する世界であることを、知ってもらいたいですね。隊員のまなざしや息遣い、そして子供たちのブルーインパルスへの憧れ、そしてアクロバット飛行の躍動感。『空の芸術』という形で今回の一冊を見ていただけると嬉しいなと思っています」 「頭のネジが2、3本抜けているんじゃないか」ブルーインパルスのパイロットが驚いた、初フライトで先輩隊員がみせた“まさかの行動” へ続く
「文春オンライン」編集部