ネット右翼の「本当の実力」は参院選で明らかになる…石破首相にトドメを刺し得る"危険因子"の正体
■「推し」にとことんついていくオタク気質 だがそのような事実をネット右翼は加味することなく、石破政権になった現在でも『Will』『Hanada』の二大保守系雑誌とその周辺に集積するネット右翼論客のほとんどは、石破への執拗な攻撃の手を緩めていない。 外交安全保障だけをみれば、日米地位協定の改定やアジア版NATO構想、米領グアムへの自衛隊基地建設など、高市よりよほどタカ派的に思える石破の政治思想は(もっとも、衆院選の敗北で石破のタカ派色はより一層、鳴りを潜めざるを得ないだろうが)、ネット右翼には関係がない。 ネット右翼が安倍や高市ら清和会系議員を支持するのは一種の「ファン贔屓(びいき)」だからである。 これはいったんファンになったアーティストやアイドルを、どんなことがあっても応援し続け、貴重な私財と時間を惜しげもなく投入し続けるコアなオタクときわめて似ている。だから実際の安保政策を比較検討するという発想が彼らにはなく、ファンになった政治家にとことんついていく世界観の中で、それと対立した石破は彼らの中で永遠の敵であり続けるのだ。 ■「高市政権」が誕生する可能性もある 今次の衆院選は、第三次角福戦争による経世会の勝利という意味で歴史的であった。 だが、自民党全体が単独過半数をはるかに下回る意味でシュリンク(縮小)したこともまた事実である。長期的な視点に立つと、来夏参院選の次は2028年夏の参院選である。経験則で言えば、2027~28年に衆議院の解散総選挙が行われよう。石破が負けたからといって、間髪を入れずに再度の総裁選と衆院解散の実行は、公明党の支持母体の高齢化を考えても不可能と思われるからだ。 衰えたとはいえ、残った清和会系の主力は参議院を牙城にしているとは既に述べた。永田町の明日を、しかも長期のスパンで予測することはできないものの、仮にひと政局あって高市が復権し、高市政権が誕生する可能性も否定できない。超タカ派、ネット右翼礼賛の第二次安倍政権を超える清和会系の復権が、またぞろ足元に忍び寄っているとも言える。