ネット右翼の「本当の実力」は参院選で明らかになる…石破首相にトドメを刺し得る"危険因子"の正体
■石破政権が終わるか、清和会が終わるか この事情を慮(おもんぱか)って、郵政選挙で自民党を離党した参議院議員らを復党させたのが第一次安倍政権(2006年)だったが、有権者には「小泉改革の後退」と映ったのか、直後の参院選の結果は惨敗に終わった石破が参院選でも裏金議員の処置を適切にできるのかは、議席数の問題もあり微妙かもしれない。 まして今回の衆院選終盤で「しんぶん赤旗」に暴露された党支部への2000万円支給問題などを繰り返せば、またも裏公認との誹(ぞし)りを受けよう。 ともあれそのような背景を見越して、今次衆院選で不出馬を表明して一旦下野した杉田水脈が、来夏の参院選出馬に意欲を燃やしているのである。 石破にとっては、大量の旧安倍派議員が残存する参院での選挙をどう制御し、自公で参議院過半数を死守するのかが、政権が長期になるか否かを占う最大の難関と言える。参議院でも旧安倍派議員の多くを完全な非公認とし、小泉に倣って刺客などを立てれば、「大坂夏の陣」よろしく旧安倍派――清和会は完全な落日を迎えよう。 ■ネット右翼が石破氏を毛嫌いする理由 では旧安倍派議員の支持基盤となっているネット右翼の動向は今後どう変わるのか。 ネット右翼界隈は岸田政権下で成立したLGBT理解増進法を「反日・売国の悪法」と糾弾しており、爾来(じらい)、岸田政権を呪詛(じゅそ)し続けてきた。表面上はこの法律が成立したことを奇貨として、百田尚樹らが率いる日本保守党が誕生したのである。 9月の総裁選で石破が高市に競り勝つはるか前から、彼らは石破を「安倍晋三の敵」と見做して徹底して攻撃の対象としてきた。 事実、2012年の自民党総裁選では安倍vs石破の戦いが行われたし、2018年の総裁選でも安倍との一騎打ちを石破が演じた。清和会の天下であった第二次安倍政権下において、たしかに石破は「党内野党」と言わしめられたが、一方で自民党幹事長として君臨(2012~14)し、初期の第二次安倍政権を支えたことも事実である。