不便だが、それで良い。リコーのオールドコンデジで再確認した最新カメラとは違う写真の楽しみ方
オールドコンデジの魅力はスペックだけでは計り知れない奥深さがある
同じシチュエーションで撮影し、同じ色味調整を施した二枚の写真です。 並べてみると特に感じる点がありますが、ソニーの「α7RV」(写真左)で撮影した写真は、雰囲気は出ているものの、やはり現代的なシャープさが目立ちます。 一方、「GR DIGITAL II」(写真右)で撮影した写真は、ピントの甘さなどから、より昔のフィルムライクな質感が表現できていると感じます。 起動の遅さやレスポンスの悪さなど、撮影中にストレスを感じる場面は多少なりともあります。それに、スマホのカメラに搭載されているような手ぶれ補正などの便利な機能は、もちろん「GR DIGITAL II」にはありません。それでも、久しぶりに持ち出して撮影してみると、撮影できる画には何ともいえない魅力があって、撮影が楽しくなるカメラだと再確認。 フィルムカメラのように、シャッターを切る一瞬に心を込めて、丁寧に写真を撮ることができる。「GR DIGITAL II」は、そんな“ゆっくりとした時間”と“レトロの奥深さ”を教えてくれるカメラです。言い換えるなら、スペックを超えたエモさを提供してくれるという、“不便を楽しむ”ためのカメラだと思いました。 本機は、フリマアプリや中古カメラ店などで、まだまだ状態の良い個体を見つけることも可能です。最新機種と比べると扱いにくいところも多いですが、不思議と、そんなところも愛せる魅力的なカメラでした。
<取材・文/田中利幸 モデル/田淵瑚都(@tako_ism)>