奈緒「言葉にできない関係性がすごく好き」外国人居住者が増えつづける東京で考える”多様性”
撮影現場はまるで異文化交流会
──世界中の都市の中でも、特に撮影が難しいといわれる東京。新宿区を舞台にした本作は、実際に新宿や新大久保の繁華街でロケを実施しているという点においても画期的です。 松田「初日から大変でしたね(笑)鴻田さんと有木野が中華料理店で食事をするシーンで。そのお店が深夜からしか撮影できなかったので……」 奈緒「夜中の1時くらいから撮影が始まって、朝日が昇るまで」 松田「新宿の歌舞伎町の真ん中にある店だったので、もうそこら中で寝ている人がいたり、酔っ払いがフラフラになって歩いていたりして、すごいんです。“サラダボウル”のリアルをくらったよね、一発」 奈緒「道とかも、ロケで使える時間帯がかぎられているので、ふだん自分が新宿にいないような時間で撮っていたりして。あ、この時間の新宿って、こうなんだ! っていうのを撮影しながら肌で感じています」 松田「新大久保とか、ふだんあまり行くことがないので、新鮮でした。とにかく外国人だらけで。でも撮影はしやすいですね。まわりにいる人たちが全然干渉してこないから」 奈緒「うん、自由な街の空気感がありますね」 松田「現場でも臨機応変に、シーンによっては、セリフを考えて撮影することもけっこうあるんですよ。実際にその場に立ってみて、『こういうやりとりがあったら、成立するんじゃないですか?』とか、監督と役者でディスカッションして」 奈緒「会話劇だけではないので、現場に行ってみないと、分からないことも多くて。みんなで相談しながらやっています。監修の先生方にもいろんな意見をもらったりして。こんなに監修の先生が多い現場も、なかなかないんじゃないかなと」 松田「そうだよね。通訳さんも、いろんな国の通訳さんがいるしね」 奈緒「みんなで一緒に作っているなっていう感じがします。異文化交流会みたいな瞬間がたくさんある現場で、おもしろいです。ドラマの中では、いろんな国の方とご一緒して、それぞれの国に焦点を当てたようなエピソードが重ねられていくので、毎回、多くの方が知らないことをお届けできるというのも、この作品の魅力なのかなと思いますね」 インタビュー後編は【松田龍平が「東京」という街に向ける意外な視線…「中国語の警察通訳人」を演じて見えてきたもの】から。
石塚 圭子