年金事務所「年金の繰下げはできません」…月収22万円・67歳の会社員女性「理不尽だ!」と憤慨も「年金ルール」にぐうの音も出ない
老後資金の中心となる老齢年金。できるだけ多くもらいたいと誰もが思うもの。そこで「(65歳での受取り開始と比べて)最大84%増額」と、魅力的な文言で「年金の繰下げ受給」が推されています。しかし、そこにはルールがあり、年金の繰下げ受給ができない場合があるといいます。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
「年金21%増額」とウキウキしていたが…
老後の生活を支える老齢年金は、国民年金が由来となる老齢基礎年金と、厚生年金が由来となる老齢厚生年金の2種類があり、受給開始年齢に達します。受給権が発生する人に対しては、年金を受け取るために必要な年金請求書が送られてきます。 年金請求書の必要事項を記入のうえ、添付書類と共に年金事務所に郵送または窓口に出向いて提出するか、電子申請をしたら手続きは完了。年金請求書の提出から約1~2カ月後に「年金証書・年金決定通知書」が手元に届き、さらにその1~2カ月後に、「年金のお支払いのご案内(年金振込通知書・年金支払通知書または年金送金通知書)」が手元に届き、年金の受け取りが始まります。 特別支給の老齢厚生年金を除き、老齢年金の受取りは基本的に65歳から。ただ60歳から75歳の間で、希望のうえ受取開始時期を決めることも可能です。早く受け取るのが「年金の繰上げ受給」で、遅く受け取るのが「年金の繰下げ受給」。 繰上げ受給では1ヵ月早めるごとに0.4%受取額が減少(1962年4月1日以前生まれの人の減額率は0.5%)。最大24%の減額となります。一方で繰下げ受給では1ヵ月遅らせるごとに0.7%増加。最大84%の増額となります。 以前、「老後資金が足りない!」と話題になった「老後2,000万円問題」。その解決策としてなのか、政府は繰下げ受給を激推し。毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」にも、年金受給を遅らせると最大84%の増額になる旨が記されています。 清水京子さん(仮名・67歳)も、年金の繰下げを選択したひとり。40年間勤め上げた会社を60歳で定年。その後は契約社員として継続して働いてきました。給与のあるうちは年金の受取りはやめて、そのぶん受取額の増額を目指したのです。 ただ最近は持病の腰痛がヒドクなり、「もういいかな」と仕事を辞めることを決意。このタイミングで年金の受給開始を決め、手続きをしに年金事務所を訪れたといいます。 ――2年と6ヵ月、受取りを遅らせたから……21%の増額 ――正直、助かるわー 月収22万円ほどだったという京子さん。対して年金は65歳から受け取ったら15万円ほどになるはずだったので、今から受取り開始にすれば月18万円以上になる計算です。 そのような皮算用をしたものの、年金事務所で聞いたのは、予想外の言葉でした。 ――残念ですが、年金の繰下げはできません