「税込1050円→税抜1050円」という巧妙な“便乗値上げ”?はびこる
4月1日からの消費税率アップに伴い、便乗値上げが疑われるケースが散見されている。はっきり「値上げ」を打ち出している企業やお店はまだ良いものの、金額の表示をそのままにしながら、ちゃっかり消費者から税率アップ以上の金額を取り立てる手法がある。それが「税抜き」表示だ。 「5%」の「税込み」表示に長く慣れさせられた消費者は、105円や1050円、10500円といった表示に違和感を覚えにくい。しかし、今回の消費税アップのタイミングに合わせて、昨年10月から「税抜き」表示が認められるようになり、1050円といったおなじみの価格表示を、税抜きの本体価格に設定する業者が増えている。あたかも税込みと誤認しかねない表示なだけに、消費者は注意が必要だ。 4月2日、いつものように都心の繁華街にランチに出かけた東京都内の男性会社員(40)は、会計時にショックを受けた。店頭では「1050円」との表示。「価格をすえおいたんだな」と喜んで入店したものの、支払いの段になって「税込みで1134円です」と請求されたのだ。店頭の1050円という表示は、よく見ると、さりげなく「税抜き」と変えられていた。 税込み1050円が税抜き1050円になるということは、単純に本体価格が50円丸々値上がりしていることになる。その上、消費者は84円の消費税を負担させられるのだ。男性は「1050円なら、税込みだと思うよね。牛丼の10円20円に一喜一憂するサラリーマンにとって、8%をそのまま乗せられるのはきつい。死活問題ですよ」と憤りを隠せない。 これまで小売の現場では、2004年から消費税を含む「総額」で表示するよう国から義務づけられていた。消費者にとっては、実際に支払う額が一目でわかるというメリットがあるものの、国の狙いは実際に自分がいくら税を払っているか分かりにくくし、消費税に慣れさせる狙いがあったとされる。しかし、昨年の10月から総額表示の義務化が解除され、税込の総額で表示しなくてもよくなったのだ。