特集|ハースF1率いる小松礼雄、前任シュタイナーにできなかった“投資”を引き出せた理由とは?
インフラ面でも投資を獲得
またハースがF1グリッドに就いてからの9年間、ガラスの日除けを延長しただけのモーターホームに代わる新しいモーターホームの導入も承認された。しかし、もっと大きな変化も起こっており、ハースのコース上でのパフォーマンスにも大きな影響を及ぼすかもしれない。 motorsport.comの調べでは、ハースは現在、F1デザイン施設にあるツールの大幅なアップデートを計画している。これはチーム史上初めてのことで、シュタイナー前代表の時代にこのような投資を求められては断られていたことを考えれば、大きな変化だ。 「モチベーションを維持するのが難しいんです」 1月のAutosport Internationalで小松代表はそう語っていた。 「決して諦めないから、常に挑戦します。トライはしますが、ある時点で戦いから外れ、遠く離されていることが明らかになります。周りと自分たちを見て、『長い間、他の人たちがどこへ向かっているのかを見ながらプッシュしてきた』と思うようになります」 小松代表が示唆したのは、2021年に予算制限レギュレーションがF1に導入された際、シュタイナー前代表が他のチームと同じように、ファクトリーキットなど上限が適応されない分野への投資を求め始めていたことだ。 しかしF1での成績向上やオーナーからの支援だけが、小松代表時代のスタートにおけるポジティブな要素ではない。ハースの平均ピットストップ時間は、2023年の4.2秒から2024年には3.2秒に短縮されているのだ。 ただその理由は、ピットストップの改良キット投入ではなく「人間のパフォーマンス」だと小松代表は説明した。 「昨年、我々は大きな1歩を踏み出しました」と小松代表は語った。 「シーズンを通してどんどん良くなり、今年もその調子が続いています」 「理由はひとりひとりの一貫性です。もちろん、一貫したリーダーがいますが、昨年の初めから同じグループのメンバーがピットストップを主導しています」 「昨年はクルーの大幅な入れ替えがありましたが、今年はほぼ同じメンバーでやっています。リーダー陣が同じであれば、戦略も明確ですし、ひとりひとりの一貫性を保つことができます。それら全てが助けになっています」