ちょっぴり不気味(?)。無人のAIスーパーフォーミュラが鈴鹿を疾走、“ドライバー”の実態も大公開
11月8日、週末に2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第8戦&第9戦『JAFグランプリ』の開幕を控えている三重県の鈴鹿サーキットにて、複数のセンサーを頼りとしたプログラミングに従って自律走行をするスーパーフォーミュラが実際に走行を披露した。 【写真】自律走行スーパーフォーミュラのコクピット内部 このマシンは、JRPがパートナーシップを締結しているASPIRE社が立ち上げた中東初の自律走行レースリーグ、Abu Dhabi Autonomous Racing League(A2RL)で使用されるマシンとして話題となっているものだ。 レースウィークにはA2RLマシンのデモランが予定されており、第8戦が行われる土曜日にはAIvsAI、続く第9戦の日曜日にはAIvs人間といった走行を控えている。その本番前日となる金曜日、A2RLマシンによる1時間の専有走行が行われ、多くの関係者がその走行を見守った。 今回の走行では、無人SF23(タイミングボードには自律走行車両A『Yalla』と表示/以下Yalla)と、シリーズのテストドライバーを務めるダニール・クビアトが乗り込んだ同型マシンが同時に走行した。 まずはクビアトの乗ったマシンがコースインして数周したのち、ホームストレートで1度停止。そこへYallaを人力で運び出してエンジンを始動し、2台揃っての走行がスタートする。 まずはYallaを先行させ、クビアト車が後ろからついていくかたちでコースを一周。次の周からはポジションをコースのいたるところで入れ替えながら、一定のペースで周回を重ねた。 走行ペースとしては、スペック内でもつねに安全マージンを優先しながら周回をこなしており、『本当に一周まわって帰ってこれるのだろうか……』という編集部の不安を裏切る手堅い走りを見せた。ただ、無人のAIフォーミュラマシンにはまだまだ違和感が残るため、取材中にはマシン前方には決して立たないように注意した。 最終的に2台は9周をこなし、Yallaのベストタイムは2分25秒646となった。なお、クビアト車が単独で刻んだベストタイムは1分51秒495、午後に行われたスーパーフォーミュラ専有走行でのベストタイムは山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)の1分37秒360だ。 その後、集まったメディア向けにA2RLの会見が開かれ、出席したクビアトは「AIスーパーフォーミュラとともに走る際には、互いの距離や速度を意識しつつ、安全を最優先に走行するように心がけているよ」と振り返る。 そして、続いて実施されたピットツアーにて、コクピットに収まっていたAIドライバー(各センサー+コンピュータ)が公開された。 その内部には、速度と距離を測定するレーダーと詳細な3D地図を生むライダーなどのセンサーと、集計した各情報を処理するECUが搭載されており、その情報をインプットした各プログラムがクルマ全体の作動部に搭載されるアクチュエーターを動作。その総合的な管理によって、クルマを自律走行させているようだ。 周辺情報を処理しながらその都度測定し、処理しながら周回を重ねていく自律走行スーパーフォーミュラ。今週末のデモランでは、その走りにも馴染みが出てくると嬉しいところだ。 [オートスポーツweb 2024年11月08日]