「避難所使っていい?」オンライン通訳の年末年始 被災地に安心感を 外国人と日本を橋渡し
旅行で訪れた海外で、災害や事故に見舞われたら――。日本を訪れる外国人が増えるなか、ショッピングから命に関わる医療現場まで、現場と外国人を遠隔地で橋渡ししているのが「オンライン通訳」のオペレーターたちです。年末年始を問わず、24時間、365日対応するというオペレーターの現場を取材しました。(withnews編集部、松川希実) 【画像】震災直後の真夜中も……停電の中、コートを着て通訳する高柏さん
1秒でも早く救急出動できるように
スーツ姿のオペレーターたち数十人がずらりと並び、複数の言語が飛び交います。中央の座席に設置されたランプが赤色に点滅しました。「全員対応中」であることを示す通知ですが、すぐに解消されました。 ここは、新宿駅(東京都新宿区)からほど近いビルにある「BRIDGE MULTILINGUAL SOLUTIONS」のオンライン通訳センターです。 オンライン通訳センターの運営の責任者を務める、中国出身の高柏(コウ・ハク)さんが案内してくれました。 通訳センターでは、厚生労働省の委託を受けた医療現場の希少言語の遠隔通訳や、自治体や金融機関、鉄道会社などと契約して、日本語でのコミュニケーションが難しい対応が発生したときに、電話やオンライン、メールで間に入って通訳をします。 また、契約している地域の指令センターと電話をつなぎ、緊急通報の通訳もします。「火事ですか、救急ですか」。指令センター員の日本語を通報者に通訳しながら、住所を特定し、患者の様子や既往歴などの状況を聞き取っていきます。 「緊急通報の場合、通訳が間に入る分、通常よりも時間が2倍かかってしまいます。1秒でも早く出動できるようにするため、こういう時は『クッション言葉』を省いて、特定を急ぎます」と高さん。 「クッション言葉」とは「お電話ありがとうございます」「恐れ入りますが」などの常套句。オペレーターは緊急通報以外にも、役所の窓口や、鉄道・小売り・金融機関のお客様対応まで幅広い現場を請け負っており、状況に応じて瞬時に切り替え、通訳することが求められるそうです。 オペレーターは、クレームや緊急対応もこなせる日本語が流暢な外国人と、外国語をネイティブレベルで話せる日本人がおり、最大256言語に対応できると言います。