直木賞作家が仕掛けるシェア型書店、1号店は初月から黒字に
今村:2月に棚主さん参加の交流会「ほんまる棚主総会」を、8月には人気作家さんを招いて僕とのトークイベントを催します。棚主さんは全国におられるので、それ、本好きの交流会以上に、ちょっとした異業種交流会になると思うんですよ。 現在の棚主が250人ということは、そのくらいの規模のイベントですか。 今村:300人くらいですね。コストコみたいに棚主さん1人につき、もう1人招待できますよ、というふうにしたら、新規のお客さん開拓にもなるじゃないですか。8月の作家さんとのトーク&サイン会のスペシャルゲストは、今年は凪良ゆうさん、来年は湊かなえさんにお願いしています。 わお、本好きにはたまらない人選ですね。というか、直木賞作家でないと、このお二方はお呼びできないでしょう。 今村:お2人とも、あまり人前に出ない方なので、これは貴重でしょ。このキャスティング力がうちの強みよと、正直、思ってます。作家さんだけでなく、編集者や取次の方から直接に話を聞くことも、なかなかできないことで、普通では取れへんところの情報を集めてきて、サロンとしてのクオリティーを上げていく。いわば僕が持つ情報商材を最大限に使っていこうということですね。 真の意味での情報商材ですね。 今村:マルチなにおいがまったくしない、本当の意味での情報商材です(笑)。それが「ほんまる」の存在価値なんじゃないかな。 ●本質はサブスクでありコミュニティー構築である 一方で、棚主さんの離脱率はどうでしょうか。 今村:離脱は10組に1組ぐらい出ると、新規の申し込みが3組入る、みたいな入れ替わりが起こっていますね。話題性でぱっと飛びついた人は、離脱するのも早い傾向があります。離脱率を下げるためには、先ほど言った通り、ソフト面の価値をぐっと高めるしかない。凪良ゆうさん、湊かなえさんに直に会えるイベントがあると聞いたら、棚主さんは少なくとも、その時まではやめられへんですよね(笑)。 「ほんまる」のビジネスの芯は、本を売ることから、コミュニティー構築に向かっているということですね。 今村:僕らのビジネスはサブスクであり、コミュニティー構築であって、もしかしたら本棚が一番のオマケなのかもしれません。ソフトに着目していけば、「ほんまる」はいろいろな使い方ができるので、そのご理解で合っていると思います。 実際、地方の行政や、民間の大手デベロッパーから、出店の打診を早速にいただいています。佐藤可士和さんとは、僕らが次に展開する時は、カフェも併設させたいね、と話しています。 そうそう、神保町の1号店には、本を買った後に“たまる”場所がないので、カフェ的なスペースは欲しいです。 今村:僕自身、いろいろなビジネスをしてきて、実は一番難しいのがカフェじゃないかなと思っているんです。カフェって単価が大きく出ないでしょう。併設するカフェを一から開発するのはちょっときついから、ここは既存の事業にM&Aをかけようかな、と考えています。 M&A……歴史小説の作家から思いがけない言葉が。 今村:その方が話が早いでしょ、と。