フランク・ロイド・ライトの愛弟子、土浦亀城・信子の自邸は90年前から超モダン!宙に浮くリビングやシステムキッチンや水洗トイレまで完備
6年もの歳月をかけて復原された名作住宅
竣工から3年後に増築し、数度の改築を経て、1995年には東京都指定有形文化財(建造物)に指定。夫妻が亡くなったあとは、元秘書の女性が引き継ぎましたが、近年は空き家になってしまっていました。 2018年より建物の調査が始まりましたが、構造の劣化が激しく、内装もシロアリ被害や漏水によって腐敗が進んでいたことから、現地での保存ではなく、解体して竣工時に復原する方向に舵を切りました。 そして6年の歳月を経て、現在のポーラ青山ビルディングの立つ敷地の一角に復原・移築が実現したのです。
品格と知性あふれる住まいの原点がここに
90年もの長い間、戦禍や地震にも耐えた幸運な土浦邸。現代住宅の原型となった住宅に、学ぶべきことはたくさんあります。 【DATA】 土浦亀城邸 原設計/土浦亀城+土浦信子(1935年・東京都品川区) 復原・移築設計/安田幸一 安田アトリエ(2024年・東京都港区) 取材協力/ピーオーリアルエステート ※土浦邸の復原・移築にあたり、プロジェクトリーダーである建築家安田幸一さんと安田アトリエの設計メンバー、歴史考証では東工大(現東京科学大)建築史家山﨑鯛介教授や安田研究室の長沼徹助教(特に色の研究)他、学生さんたち、居住技術研究所を主宰する加藤雅久さん、そして施工者の鹿島建設や各メーカーの方々など大変多くの方々が関わりました。 (ML277号掲載)