生活再建の第一歩となる「罹災証明書」って何? #災害に備える
ひとたび遭遇すると自宅や職場が失われてそれまでの生活の基盤を奪われてしまうことがある風水害や地震災害。生活を再建する上で、その第一歩となるのが災害による被害の程度を証明する「罹災(りさい)証明書」だ。 国は被災した人々のためにさまざまな支援策を準備しているが、その支援策を適用する判断材料となるのが罹災証明書で、行政だけでなく学校・会社からの支援の届け出などにも幅広く活用されている。 被災者の最初の希望となる罹災証明書について説明したい。
第2次調査も申請できる 様々な角度から写真撮影を
罹災証明書は、災害によって住宅などがどのくらいの被害を受けたか、その程度を証明する書面。災害があった後に、被災した住民から申請があった場合、市区町村は「全壊」「大規模半壊」「一部損壊」など、どのくらいの被害があるのかを調べて、罹災証明書を発行する義務がある。 被災者生活再建支援金をはじめとする被災者へのさまざまな公的支援は、被害程度に応じてその支援内容が変化する。罹災証明書はその基準として活用できるため、被災者としてはこれを発行してもらうことが生活再建に向けた重要な「第一歩」となる。 ただ、自治体の職員が調査を行うため、災害の規模が大きく被害の範囲が広くなると、罹災証明書の発行までに時間がかかってしまうことが大きな課題だ。このような課題を解決するため、近年、被災者が撮影した写真を利用して判定するしくみなども取り入れられた。このため、もし被災した場合は、大変な時期ではあるが、住宅を解体したり、修繕したりする前の段階で、身の安全に十分注意しながら、目に見える被害箇所だけでなく、建物の内部、外部をさまざまな角度からたくさん写真を撮影しておくとよいだろう。 ちなみに罹災証明書に書かれる住宅の被害程度は一般的に、「全壊(損害割合50%以上)」、「大規模半壊(同40%以上50%未満)」、「中規模半壊(同30%以上40%未満)」、「半壊(同20%以上30%未満)」、「準半壊(同10%以上20%未満)、「一部損壊(同10%未満)」に分類される。 自治体職員による調査には、外観目視による「第1次調査」と、申請者の立会いのもとで内部の立ち入り調査を行った上で被害認定する「第2次調査」がある。第2次調査は通常、被災者から申請があった時に行われる。外観目視では損壊があまり見られなくても、内部に深刻な被害が出ている場合もあるため、もし、最初の第1次調査の被害認定に疑問などがある場合は、あらためて第2次調査を申請できることを覚えておくとよい。また、第2次調査に加えて、さらに再調査を依頼することもできる(自治体は、依頼内容を精査し、再調査が必要と考えられる点があれば、その点について再調査を行う)。