「黒」を待ってはいけない! 気象庁「キキクル」色分け変更 6月末から #災害に備える
気象庁は今年の6月30日から、災害発生の危険度を地図上に色分けして表示する「キキクル(危険度分布)」の色分けを変更する。これまで、危険度が低いほうから「黄(注意)→赤(警戒)→うす紫(非常に危険)→濃い紫(極めて危険)」の順だったが、うす紫と濃い紫を統合して「紫」とし、さらに危険度が高い状況を「黒」で表す。 この結果、危険度が低い方から「黄(注意)→赤(警戒)→紫(危険)→黒(災害切迫)」となる。 災害に対して「住民が取るべき行動」をベースに1~5の5段階に整理した大雨の「警戒レベル」では、これまでうす紫は「4相当」で、濃い紫についてはレベルが設定されていなかったが、新しい色分けでは紫が市区町村が「避難指示」を発令する目安の「4相当」、黒が「緊急安全確保」を発令する目安の「5相当」にそれぞれ位置付けられることになる。
大雨特別警報の発表基準も新たに
気象庁は「キキクル」の色分けの変更と併せて、同じく今年の6月30日から「大雨特別警報(浸水害)」を発表基準を、「流域雨量指数」や「表面雨量指数」を用いたものに変更する。大規模な浸水害をこれまでより高い確度で的中できるようにして、情報の信頼度を高めるのが狙いだ。 これまで特別警報を発表したものの多大な被害が生じなかった事例が多くあったり、反対に多大な被害が発生したにもかかわらず特別警報が発表されなかった事例もあったことが課題だった。災害発生との結びつきが強い「指数」を活用することで、特別警報の発表地域を大幅に絞り込んだり、島しょ部など狭い地域への発表ができるようになることが見込まれるという。
流域雨量指数、表面雨量指数とは?
流域雨量指数は、河川の上流域に降った雨によってどのくらい下流の対象地点の洪水のリスクが高まるかを把握するためのものだ。降った雨水が地表面や地中を通ってどのくらい河川に流れ込むのか、そして河川に流れ込んだ雨水がどのように河川に沿って流れ下るのかを計算して数値化する。 一方、表面雨量指数は短時間の強い雨によってどのくらい浸水のリスクが高まるかを把握するためのものとなる。山地や水はけの良い傾斜地などでは雨水がたまりにくいが、アスファルトに覆われた都市部では雨水が地中に浸み込みにくいため地面に留まりやすい。このような地面の状況や地形、地質などを加味したうえで、降った雨が地表面にどれだけたまっているかを計算して数値化する。 大雨警報(浸水害)や洪水警報などは、それぞれの地域で過去に災害が発生した時のこれらの指数の値を調べた上で発表基準値を決めている。また、「キキクル」もこの数値の予測値を用いて表している。しかし、大雨特別警報(浸水害)は、48時間降水量や3時間降水量、土壌雨量指数など、流域雨量指数や表面雨量指数以外のさまざまな発表基準が設けられていた。