【今さら聞けない】フィアットの屋台骨「パンダ」 45年の歴史をおさらい、4代目はどんな「ファミリー」に?
2代目ではホットモデルも登場
揺るがない人気を誇った初代は、先述の通り2003年に惜しまれながらも生産を終了した。続いて登場した2代目は、テクノロジーやデザイン、操縦性で大きな飛躍を遂げていた。 2代目は、初代にも増して豊かなバリエーションが揃えられていた。「100HP」の名を掲げたホットハッチ仕様もあれば、オフロード向きの4×4も。日本国内には導入されていないが、ベーシックなトリムレベルでは1.1Lエンジンが搭載されていた。 AUTOCARの読者であれば、最もホットな100HPに注目するところだろう。このヤンチャなパンダは、各部がブラックアウトされ低く抑えられた車高や15インチのアロイ・ホイールと相まって、想像以上に速く感じられる。 それでいて、通常時に200L、リアシートを倒せば861Lまで拡大できる荷室を備え、利便性も十分。 パンダ100HPの日本国内での個体数はそう多くないが、状態のよいものに巡り会えたら、思わず手を出してしまいそうな、そんな魅力と実用性を兼ね備えた1台だ。
3代目もロングセラーに、そしてグランデ・パンダへ
2011年に発表された3世代目にあたるパンダが、初代よりも2代目のコンセプトを受け継いでいることは誰の目にも明らかだろう。 そんな中にも、車内外に角を丸めた「四角」のモチーフがちりばめられ、節々から初代へのリスペクトを感じ取ることができる。 当初、日本に導入されたのは0.9L直列2気筒ターボのツインエア・エンジン。まるで先祖返りしたかのようだが、最新のダウンサイジングユニットの85ps/5500rpm、14.8kg-m/1900rpmのアウトプットには十分に余裕がある。 ヨーロッパ仕様では脈々と受け継がれてきた1.2L直列4気筒のファイア・エンジンや、1.3Lのマルチジェット・ターボ・ディーゼルエンジンの用意もある。 モデル末期となった2020年には、1.0Lの3気筒エンジンに12Vモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドも追加され、これはフィアット初の電動化モデルだった。 パンダに代々ラインナップされてきた4×4は、もちろん3代目にも設定される。50mm高い車高と、電子制御のマルチ・プレート・クラッチによるリア・ディファレンシャルを持つ4×4システムが与えられる。 3代目パンダ4×4の美点には、オフロードの高い走破性だけでなく、余分に与えられたサスペンション・トラベルにより向上した一般道での乗り心地も挙げられる。ツインエア・エンジンを搭載したパンダ4×4は日本にも導入され、街角でこの小さなタフガイの姿を見たことがある人もいるだろう。 日本仕様の2ペダル車の変速機は、2代目と同じくセミオートマティックのデュアロジックを採用。信頼性に欠ける面もあるが、世代ごとに高められた製造品質と相まって、新たなフィアットユーザーの開拓に貢献したことは言うまでもない。モデルライフに終止符を打ったのは、つい昨年のことだった。 4代目として公開されたパンダは「グランデ・パンダ」と名付けられ、全長3.7mあまりだった3代目からやや大型化した。さらに今後は、「パンダファミリー」と呼ばれる派生モデル登場の予定もあるという。 より角ばった印象を受けるグランデ・パンダのスタイリングと詳細については、下記関連記事からご覧いただきたい。
香野早汰(執筆/編集)