【日本人のカスハラがひどい理由】おもてなし文化では「5つ星」宿泊施設に勝てない、誤解だらけの日本の接客業
供給が足りていない高単価の飲食店
では、反対に高額、高付加価値のハイエンドの側はどうかというと、こちらにも課題は山積している。日本の外食産業はバブル崩壊後も付加価値の拡大を続けており、国内でもグルメブームに乗って来た。そこにインバウンド消費が上乗せされる中で、業界を取り巻く環境は決して悪くない。けれども、現在の日本のハイエンドの「おもてなし」は、こうしたニーズを受け止めきれていない。 その背景には、「おもてなし」という日本の文化が「単に消費者を上下関係の上位に置いて自尊心をくすぐる」だけの貧相なサービスノウハウを中心としているからだ。そうではなくて、5つ星のレベルに求められるのは、対等な人間関係・信頼関係の上に高度な問題解決のスキルを提供するサービスである。これは文明のレベルから鍛え直して作り上げるしかない。 その結果として、世界基準で最高クラスと言われる「5つ星」の宿泊施設が圧倒的に足りないという状況が続いている。特に宿泊客の様々なニーズへ柔軟に対応する、バトラーやコンセルジュのプロフェッショナリズムということでは、全く不十分である。 さらに、ミシュランの星の獲得などグルメ都市の評価を恣にしている東京だが、一流店の規模が小さい。つまり客単価が1万5000円レベルの「大箱(おおばこ)」が極端に少ないのである。
これは大阪や福岡と比較すると顕著であり、産業として大きな損失である。もちろん、不動産相場が暴騰しているという問題はあるが、やはり原因としてはファイナンスが難しいということがあると思う。 その結果として、例えば国際的なビジネスの大規模会議を受け止めて、そこで巨額の料飲売上を稼げる施設ということになると、外資系が圧倒的ということになる。外資系と言っても、運営だけ外資に任せており所有は民族資本という物件も多い。けれども、運営を外に出すことで、収益の相当部分が海外に流れるというのもまた事実である。