FRBの利下げ開始待つ世界の中銀-日銀総裁会見まで市場の緊張続く
7月の日銀利上げ後、円中心のキャリートレードが巻き戻され、市場が混乱したことは記憶に新しい。
デフレの悪循環に苦しんでいる兆候がデータで示された中国の金融政策発表も予定されており、米国に次ぐ世界2位の経済大国に注目が集まる可能性もある。
米国とカナダ
2日間のFOMC会合が始まる17日には、消費者需要の最新データが発表される。8月の小売売上高は全体的に自動車ディーラーの活動鈍化により伸び悩んだ公算が大きいが、その他の小売業は堅調な売り上げの伸びを示しそうだ。
消費回復の兆しが見られるにもかかわらず、FRBが17日発表する8月の米鉱工業生産は低迷持続が示される見通し。11月の米大統領選を控え、依然として高い借り入れコストが設備投資を抑制している。
18日発表の8月の住宅着工件数は持ち直しが示されそうだ。7月は2020年5月以来の低水準だった。
カナダが発表する8月の消費者物価統計は、総合指数およびコア指数の両方でインフレ鈍化が続いていることが示される可能性が高い。予想を下回るデータとなった場合、緩和策継続が想定されるカナダ銀行に対し、追加利下げを求める声が高まることも考えられる。
アジア
注目は植田日銀総裁だ。エコノミストらは日銀の金利変更はないと予測しているが、植田総裁が金利動向をどう表現するかによって、円相場が大きく動く可能性もある。
中国は1年物の中期貸出制度(MLF)と貸出金利の指標ローンプライムレート(LPR)を据え置くと予想されており、インドネシアは5カ月連続で政策金利を維持する見通し。台湾は19日に金融政策を発表する。
欧州・中東・アフリカ
米連邦準備制度の緩和措置を踏まえ、複数の中銀が政策金利を決める。ドル建てエネルギー輸出に依存している湾岸諸国は、米国の動きに追随し金利を引き下げる公算が大きい。
イングランド銀の金利変更は予想されていないが、債券ポートフォリオの縮小を加速させるかどうかという判断に投資家は注目。間もなく景気浮揚策を強化するのではないかという臆測が飛び交う中、今後の利下げペースに関する示唆があるかどうかにも着目している。