湘南の海に迫る低山アルプスの高麗山! 海と富士の絶景と遺跡を巡る「ミステリーツアー」
正月の人気スポーツ中継といえば箱根駅伝が最たるものかと思います。東京・大手町と関東の人気観光地の箱根・芦ノ湖をつなぐ大学生の襷リレーは、100年を超える歴史を紡いできました。そのコースの総距離の約三分の一に当たる湘南地区をランナーが走り抜けますが、ランナーを見守るかのように聳える低山が四季を通じて人気の低山アルプスを作り上げています。 【写真】高麗山の遺跡を巡るミステリーツアーをチェックする(全13枚)
湘南海岸に聳えるミニアルプスからの絶景が人気
神奈川県の登山コースといえば丹沢。丹沢とひと口に言っても東丹沢、西丹沢のざっくり東西に加え、大山、ヤビツ峠、塔ノ岳を軸とした南側をオモ丹(表丹沢)、神奈川県最高峰の蛭ヶ岳。大室山が主役を務める北側を裏丹とさらに細分化して呼ぶ方もいるほどです。そのオモ丹を代表する秀嶺・大山の前衛峰に高麗山(こまやま)があります。標高168mの低山ですが、湘南海岸を走る国道134号線を麓に抱き、並行するJR東海道線の車窓にその姿を見せつけてくれます。 高麗山は峰をつなげる浅間山(標高180m)、八俵山(標高160m)などと縦走できる湘南アルプスとしても親しまれています。その山中にある高麗山公園・別名湘南平(海抜181m)からは南側に相模湾、西には富士山。そのまま視線を北側に向ければ大山~丹沢を眺め、東に向かって厚木方面から平塚の街並みを望むことができる絶景スポットとして人気です。 ちなみに湘南平には約60台を収容する管理駐車場が置かれ、その上、JR大磯駅からも至近とアクセスにも恵まれており年間を通じてハイカーに人気のスポットです。またレストハウスや展望台も設置されているので、登山だけでなくドライブの立ち寄りや近隣住民の散歩コースとしても人気です。
日本の古代史~近世史にまつわる史跡を抱く高麗山
その湘南アルプスの軸となる高麗山はJR大磯駅から東側の平塚市寄りにある高来(たかく)神社に登山口があります。高麗山は日本史にまつわる山で、まずは江戸時代を代表する浮世絵絵師・歌川広重の東海道五十三次の一作「平塚縄手道」にも描かれています。 高麗山はその名前から想像できるように、古代日本史に登場する渡来人は高句麗からの人々に由来しています。登山口にある高来神社も古くは高麗(こま)神社と呼ばれていました。古の渡来人が相模湾から大磯海岸に上陸する際の目印とされていたとも言われています。高麗神社といえば埼玉県日高市。人気アニメのヤマノススメで知られる飯能アルプスのルート上にもあります。こちらも高句麗から渡来した人々が祀った社です。 古代日本の、といっても約7世紀頃は古墳時代後期にあたります。その時代の遺跡として横穴古墳の史跡がこの大磯は高麗山の山腹に散在しているそうです。その代表的な史跡が楊谷寺谷戸(ようこくじやと)横穴群です。高来神社から高麗山をめぐるルート延長線上の高麗山公園から大磯駅に向かって下る途中で、その分岐標識に従って行くことができます。 山肌に掘られた穴墳墓は往時の有力者たちの墓であるといわれているそうですが、4段に配列した約20穴ほどの横穴群を見ることができます(現在は左側7穴が土砂に埋もれて不明瞭)。神奈川県の重要文化財に指定され、ドーム形状の屋根やアーチ型屋根など年代変化による違いを散見できる墓場の谷と県では説明しています。