リスク大きく儲からない”障害者の歯科治療”日本で最初に開業した男性(77)「おまえはダメだ」と言われた子供時代がバネに「人の役に立つ仕事がしたい」
RKB毎日放送
45年前、日本で初めて障害者専門の歯科医院を開業した歯科医師の男性がいます。障害者の歯科治療は麻酔がほぼ必須でリスクが大きく、より多くのスタッフも必要です。あえて「難しい、儲からない」といわれる分野に飛び込んだのは、「おまえはダメだ」と言われ続けた子供時代の体験があったから、と話します。 【写真で見る】日本初の障害者の歯科治療 ■「いやいや」歯の治療嫌がりパニックに 福岡市博多区にあるおがた小児歯科医院。知的障害がある幼い男の子が治療に訪れていました。 「いやいや・・・」 歯の治療を嫌がりパニックになった子供を優しくなだめるのはこの歯科医院を開業した歯科医師の緒方克也さん(77)です。 ■患者の6割が障害者 おがた小児歯科医院 緒方克也さん「おお、上手上手、いいぞいいぞ、すごいすごい。おお、すごいぞ!できたよ、よく頑張ったね、よかった」 おがた小児歯科医院では、1日に80人程の患者を診察しますが、そのうちの6割が障害がある人たち。 パニックを起こすなどして、ほかの歯科医院で治療を断られたという人も少なくありません。 おがた小児歯科医院 緒方克也さん「みんな障害の状況は違うし、同じ名前の障害でも全部違うし、その人に合ったことをしないといけない」 ■手探りで治療方法を模索 45年前、日本で初めてとなる障害者専門の歯科医院として開業した「おがた小児歯科医院」。 当時、障害者のための歯科治療は体制がほとんど整備されておらず、緒方さんのもとには全国から患者が駆け込みました。 どのように治療に当たればいいのか、前例がない中、手探りで治療方法を模索していきました。 ■「こんなにたくさんのスタッフ、普通はいない」 障害者の治療には治療をする医師に加え、2人歯科衛生士の合わせて3人で行うことが多いといいます。安全に治療できるよう体を支えて安定させる必要があるからです。 「おがた小児歯科医院」には、非常勤も含めて11人の歯科医師と14人の歯科衛生士がいます。 おがた小児歯科医院 緒方克也さん「普通の開業医の先生たちはこんなにたくさんスタッフがいない。自分で座って口を開けることができない人にどうしていいかわからないから、普通のところじゃできないと言うことになるんでしょうね」