パリの象徴「エッフェル塔」設計者没後100年目の真実 “エッフェル”の名を受け継ぐ日本人女性
パリのシンボル・エッフェル塔。設計者は「鉄の魔術師」と呼ばれるギュスターブ・エッフェル氏。彼が亡くなってから2023年12月で100年が経った。当時の常識を覆す300メートルを超える高層の塔を、わずか2年という短期間で完成させた“天才”エッフェル氏。その名を受け継ぐ子孫でつくる家族会には、1人の日本人女性の姿があった。彼女はエッフェル氏の偉業の知られざる真実を、フランスで伝えている。
■“世界一有名な塔”を造った「ギュスターブ・エッフェル」
“世界一有名な塔”と言えば、エッフェル塔を思い浮かべる人も多いだろう。女性がスカートをはいているようにも見える、その優美な姿から「鉄の貴婦人」とも呼ばれている。1889年のパリ万博の目玉として建設され、以後130年以上にわたって世界中の人たちを魅了し続けている。年間の観光客数は約700万人。開業以降の観光客はのべ3億人を超え、世界で最も多くの人が訪れる有料入場の記念塔となっている。 エッフェル塔の建設前に存在した最も高い建物は、アメリカのワシントン記念塔で169メートルだ。エッフェル塔はこれを大きく上回る312メートルにも及んでいた(現在の高さは330メートル)。これほど高層の塔が19世紀に造られ、今でも多くの観光客を受け入れ続けているのは驚きだ。 その建設プロジェクトを率いた男の名は「ギュスターブ・エッフェル」。実は、アメリカにある自由の女神の骨組みの設計者でもある。また世界各地で鉄橋の建設にも携わったため、「鉄の魔術師」の異名もとっていた。技師としてだけでなく実業家としても成功し、さらに航空力学の先駆者としても活躍して、その分野の進歩にも多大な貢献をした“天才”だ。
■エッフェル没後100年 「鉄の魔術師」の功績伝える日本人
エッフェル氏の没後100年となった2023年、その功績を称えるイベントがフランス各地で行われた。彼の子孫でつくる家族会が数多くの記念行事を計画。そこには「エッフェル」の名を受け継ぐ1人の日本人女性、由紀子・イエットマンエッフェルさんの姿があった。 埼玉県出身でグラフィックデザイナーの由紀子さんは、2007年に来仏。ギュスターブ・エッフェル氏から数えて5代目の孫にあたるサバンさんの妻で、「エッフェル家」の一員として先祖の偉業を伝える活動に貢献している。