どんなバックパックにも対応する「PAAGOWORKS」のサブバッグ「Switch」の使い方
いわゆるマーケティングですね。どういう商品に需要があるか見定めて、そこに向けて動くから限られた時間で商品性を追求する作業になって、道具としての本質的な部分を検討する時間が往々にして取れない。そこに疑問を感じる機会が多かったので、自社ブランドではまったく違うやり方をしています。道具として必要なものを見極めて製品化、商品化していく。現在はそれができていると思います」
デザインは顔が大事といわれる。商品として売り場に並んだとき、正面として見える部分にいかに表情をつけるか。そこで売れ行きに差が出るというのが定石のように語られるが、「Switch」はむしろ背面のほうから仕様が固まった。
「サブバッグを作るとき、どうしてもデザイナーとしては正面にポケットをつけたくなると思うんですよ。そのほうが商品に表情がついて目に留まりやすいから、ポケットなりバンジーコードなり切り替えなりで、顔を作らずにいられないのがデザイナーの性です。それは私も理解できますが、実用性を重視するなら表面はのっぺらぼうに近いほうがいい。 なぜなら、たとえば表面のポケットにスマホや財布、鍵などを収納すると重心が身体側から離れてサブバッグが安定しないからです。そこで『Switch』は内側、身体側のポケットからデザインしました。内側ですから目立ちませんが、誰もが持ち歩く貴重品の収まりがよくなります。メインの気室は雑多なものが持ち歩きやすいフォルムにしました」
決して目立たないが、「Switch」の下部には写真だと隠れてしまうような小さいループが両サイドについている。これも、使い勝手を考えての仕様だという。
「たとえばベルトを『Switch』の後ろに通して使った場合、バックパックを下ろす際に『Switch』が外れることが考えられます。それを避けるため、もしもGフックが効かせにくい場合は下方のループにカラビナなどをつけてバックパックのどこかに掛けると『Switch』が落ちない。普段ここまで説明しませんが、細かい仕様をうまく使うとユーザーさんは自分流の使い方ができます」 基本のチェストバッグ、ショルダーバッグ、ウエストバッグだけでも十分に便利だが、使いながら応用を工夫できる実用本位の「Switch」……M、L、XLのどれが扱いやすいか、アウトドアショップの店頭で実物を手にしてみてはいかがだろう?