どんなバックパックにも対応する「PAAGOWORKS」のサブバッグ「Switch」の使い方
「どんなフックが固定しやすいか、試作品をいろいろ作って検討しました。その結晶がこのGフックです。サブバッグって多くの場合、ベルトのほうにフックやカラビナがついてますよね。それだとベルトを外したとき、サブバッグがどこにも掛けられない。サブバッグのほうにフックをつければ、どこにでも掛けられるようになります」
「Switch」はM、L、XLの3サイズ展開で、なぜかSがない。どうしてないのか聞いてみると、「パーゴワークス」のものづくりの秘密が垣間見えるような気がした。 「アウトドアの道具は自分がフィールドで使いたいもの、あると便利なもの、欲しいものを自分で作るのが原点です。試作品をたくさん作るのが弊社の特徴で、試作の段階ではSもありました。製品としてはSも作れるけど、商品にするにはSは小さくて実用性が低く、売れないんじゃないか。そう判断して当初MとLだけ発売しました。 チェストバッグとしての使用が前提ですから、バックパックのショルダーハーネスの間隔に準じる必要がある横幅は各サイズあまり差がなく、主に高さと奥行で容量に大小をつけるデザインです。実際に発売すると『もっと小さいのがほしい』という声は少なく『もっと大きいのがほしい』という声が多かったので、ペットボトルが無理なく収まるXLを後から展開したんです」 初期段階でラインナップを揃えることより、実用性を重んじて対応していく。斎藤さんはデザイン事務所にプロダクトデザイナーとして勤務後、フリーランスのデザイナーとしてアウトドアのバックパックを中心に製品開発してきた。2003年に「HOBO GREAT WORKS(ホーボーグレートワークス)」を立ち上げた際、初めて製品化したのはチェストバッグだった。
商品を作るところからではなく、道具を作るところから始める「ものづくり」
「この業界に長くいるのでわかるんですが、多くの場合ブランドの『ものづくり』は出発点が商品ありきなんですよ。次のコレクションはこのへんのものを5アイテムぐらい作りましょう。どこどこのお店に並べましょう。いくらぐらいで売りましょうというアウトプットが概ね決まったところからデザインが始まります。