令和の米騒動、自動車の認証不正…2024年中盤の日本経済/中
2024年の中盤は、米国経済の先行き不透明感から、一時1ドル=160円まで円安が進み、日経平均株価も過去最大の下げ幅を記録するなど金融市場が不安定化しました。一方、コメの品薄が本格化し、「令和の米騒動」が家計を直撃する状況が続きました。 ◇4月 「為替介入の有無については申し上げることはない」(神田真人財務官=当時) 29日の外国為替市場で一時、1ドル=160円台まで円安・ドル高が進み、1990年4月以来、約34年ぶりの円安水準となった。同日中に154円台まで高騰する乱高下になったため、政府・日銀による為替介入が行われたとの観測が強まった。その後、財務省は8月公表の統計で、5・9兆円の円買い・ドル売り介入の実施を明らかにした。 ◇6月 「お客さまや車ファン、全てのステークホルダーにおわび申し上げる」(トヨタ自動車の豊田章男会長) ダイハツ工業などで相次いだ自動車の認証不正問題を巡り、国土交通省は3日、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキの計5社からも不正の報告を受けたと発表。各社に立ち入り検査に入った。 ◇7月 「キャッシュレス化が進展しているが、現金は今後とも大きな役割を果たしていく」(日銀の植田和男総裁) 日銀が3日、約20年ぶりにデザインを一新した3種類の新紙幣(日本銀行券)の発行を開始。肖像は、「日本の資本主義の父」と称される実業家の渋沢栄一(1万円札)、津田塾大創始者の津田梅子(5000円札)、破傷風の治療法を確立した微生物学者の北里柴三郎(1000円札)になった。 ◇8月 「線状降水帯に直撃を受けたようなマーケットの一日だった」(伊藤忠商事の鉢村剛副社長兼最高財務責任者) 5日の東京株式市場で日経平均株価(225種)は大幅に下落し、終値は前週末比4451円28銭(12・4%)安の3万1458円42銭となった。87年の米国市場の大暴落「ブラックマンデー」の翌日に記録した3836円安を超えて過去最大の下げ幅だった。 ◇9月 「93年の米騒動以来30年間こんなことはなかったです」(東京都練馬区のスーパー、アキダイの秋葉弘道社長) コメの品薄が本格化し、9月の全国消費者物価指数はコメ類が75年9月以来、49年ぶりの上昇率を記録した。コメ価格はその後も高止まりが続き、「令和の米騒動」は主食の需給バランスのもろさを露呈した。 「当社の価値を著しく過小評価している」(セブン&アイ・ホールディングスの書簡) セブン&アイが6日、買収を提案してきたカナダ企業アリマンタシォン・クシュタールに対する書簡を公表し、提案の再考を要請した。その後、クシュタールが買収額を引き上げる一方、セブン&アイ創業家が主導する自社買収(MBO)の検討も行われている。