通行無料でもトイレは有料!? 事故の迂回方法にも驚いたドイツ・オーストリアの高速道路
オーストリア第2の都市グラーツ、ロマンチック街道最古の都市であるドイツのアウクスブルク、ピルスナービールの発祥の地、チェコのピルゼンなどがそうである。 ■高速道路による収入を鉄道に充てる政策 驚くべきは、今年7月から3.5トン以上まで有料化の対象を拡大したドイツでは、増収分のおよそ半分を鉄道の改修等に使うと決まったことだ。慢性的な赤字に悩み、廃止も視野に入った路線が多い日本の地方の鉄道に、高速道路の収入を充てるなどという政策は、わが国では絶対といってよいほど実施できないであろう。
物流は高速道路、人々の移動は鉄道。もちろん飛行機も重要だが、「飛び恥(Flight Shame)」の掛け声のもと、鉄道と競合する短距離の航空路線を廃止し、移動を鉄道に委ねるという政策もフランスなどでは浸透している。 この夏、日本のみならず、世界各地で地球温暖化による猛暑、洪水、旱魃(かんばつ)が多発したが、人々の移動に使われる化石燃料をいかに抑えるか、そんなヨーロッパの苦闘が垣間見える夏の旅であった。
【写真】ドイツとオーストリアの高速道路を写真で振り返る
佐滝 剛弘 :城西国際大学教授