通行無料でもトイレは有料!? 事故の迂回方法にも驚いたドイツ・オーストリアの高速道路
ようやく通過できると安心したのだが、車列はトンネルの手前で細い1車線の坂道を上がっていく。トンネルを避ける迂回路があるのかと思ったが、前のクルマについていくと、出てきたのは反対車線のまったく同じところ。トンネル内は通れないから「来た道へ戻りなさい」ということだった。 いつまでも待たされるよりも合理的ではあるが、これにより50kmほど遠回りすることになり、渋滞で立ち往生していた時間も含めて、約2時間のロスだ。
しかし、周囲のクルマを見ても怒りをあらわにしている人はおらず、きわめて静かに迂回を受け入れていた。「大人の国」だからなのか、めずらしくないことだからなのか、少し不思議に思いながら世界遺産のハルシュタットへの道を急いだ。 さて、ドイツは日本よりも少し狭い程度の国だが、国土のほぼ全域に稠密(ちゅうみつ)に高速道路網が張り巡らされている。 オーストリアの面積は8.4万km2 と北海道とほぼ同じで、国全体にアルプスの山岳地帯が広がっているので、アウトバーンとそれに準じた高速道路網は総延長2200km程度と多くはない。しかし、主要都市の多くが高速道路で結ばれており、利便性は相当高い。
一方で、両国は世界でももっとも先進的な「環境大国」であり、人々の移動には鉄道が推奨されている。そのためか、少なくとも昼間は、高速道路を行き交う路線バス、つまり日本でいう「高速バス」はほとんど見なかった。 オーストリア連邦鉄道(OBB)は、国境を越える長距離列車の運行に積極的だ。2016年に廃止された夜行特急、シティナイトライン(CNL)の後継の運行を名乗り出たのもOBBであった。 また、両国とも中程度以上の都市には、必ずトラム(路面電車)や架線から電気を受けて走るトロリーバスが都市内の人々の移動を担っている。繁華街にはクルマは入れず、歩道とトラムのみ、というところを今回もかなり見た。