契約を更改し会見する谷川原健太

　ソフトバンクの谷川原健太捕手（27）が5日、福岡市内の球団事務所で契約更改に臨み、現状維持の1500万円でサインした。 　本人も驚きの現状維持だった。プロ9年目の今季、一軍出場はシーズン最終盤の4試合のみ。普通なら巨大戦力を誇るソフトバンクでは、首が涼しくなってきてもおかしくない状況だ。谷川原も「自分としてはダウンかなと思っていた」と減俸を覚悟。それでも年俸が動かなかった理由を三笠GMはこう話す。 「一軍レベルで活躍ができる力を持っているが、次世代の捕手を育てていくという方針のもと、今年は腰を据えて二軍で経験してもらった」 　谷川原は今季二軍で捕手陣最多の74試合に出場。昨季までは持ち味の打撃を生かすために外野にも取り組むことが多かったが、今季はマスクをかぶり続ける一年となった。 　プロ9年目での球団主導の〝二軍漬け〟。その裏には巨人への移籍か残留か、去就が注目される甲斐流出への用意周到なリスクヘッジがある。 　三笠GMは「明確にそれを見込んでたからとは言えないが（甲斐が今シーズン中に）FA権を取得する見込みで、一年契約だったということもある。甲斐選手が残るにせよ、移籍するにせよ、次世代の捕手を育てていかなきゃいけないという判断」と話した。 　鷹の正捕手の流出はもちろん避けたいところだが、権利行使は本人の自由。そこで球団は、今年の春のキャンプで城島氏が目にかけて指導するなど注目株であった谷川原を〝ポスト甲斐拓也〟として育てていくプランを立てたのだ。 　谷川原の目も燃えている。「（来季は）自分がどの捕手よりも一番多く試合に出て一番活躍してやるという強い気持ちがある。もう捕手しか見てないです」 　甲斐の残留が一番であることは違いない。その一方で、谷川原の現状維持には、万が一に備えた球団のリスクヘッジがあった。 ＝金額は推定＝