新規参入の鉄道会社が始めた「観光列車」に驚いた…!レストラン列車「丹後くろまつ号」に隠されていた「地域の観光ビジネス」成功の秘訣
新規参入の鉄道会社が始めた観光列車
流れゆく車窓を楽しみながら食事を楽しむ「レストラン列車」を運行している会社は、いまや全国で約50社にものぼる。各地方とも観光客を引きこむ起爆剤として「レストラン列車」を位置づけ、有名レストランのコース料理を提供したり、接客・おもてなしに磨きをかけたりと、観光アイテムとしての差別化に手を尽くしている。 【写真】いま世界が注目…!日本発の「新しい乗りもの」はこれだ! その中で、「京都丹後鉄道」(京都府・兵庫県)が運行する観光列車は、10年前に掲げた目標(年間4万人)を4倍も上回る「年間16万人」に利用されているという。 この鉄道を運営する「WILLER TRAINS」は、観光事業・高速バス事業を展開する「WILLER」グループの子会社として設立され、第三セクター鉄道「北近畿タンゴ鉄道」(現在の「京都丹後鉄道」)の運営を2014(平成26)年に引き継いだばかり。 鉄道運営の経験がない「新規参入組」として、(観光事業で縁があったとはいえ)もともと事業拠点がない「未開の土地」で鉄道事業を展開するにあたって、「丹後まで乗りにいきたい!」と思わせる観光列車のブラッシュアップ(魅力向上)が重要な役割を果たしていたことは、言うまでもない。 なかでも、社内で本格的なコース料理を提供できる「丹後くろまつ号」は、各地の「観光列車」「レストラン列車」の先輩格でもあり、何度も訪れる固定ユーザーを掴んでいるという。また、提供されるコース料理だけでなく、地元食材へのこだわりや接客のホスピタリティを参考にしようと、各地のローカル鉄道の関係者がひっそり乗り込むことも多いという。 「丹後くろまつ号」に、「観光列車サバイバル時代」のヒントはあるのか? そしてその「こだわり」とは――景色と絶品料理を楽しみながら、ちょっと贅沢な時間を過ごせるレストラン列車に、さっそく乗車してみよう。
「こだわり(1)」仕掛けが細かい“水戸岡車両”
「丹後くろまつ号」車両は、数多くの観光列車を手がけた工業デザイナー・水戸岡鋭治さんのリノベーションによって、通勤・通学の足であった「KTR700形」が生まれ変わったものだ。 全長20mほどの車両内には、天然木を使った4人掛け、2人掛けのテーブルを5組づつ設置。レイアウトはちょっと細長いが、窓が広くて自然光が入ってくる。かつ、眺めのいい場所まで自走できるレストランなど、そうない。 車内では松柄が至るところにデザインされ、テーブルの上にも白を基調とした松柄の敷紙が敷かれている。車内はまるで、天橋立の代名詞でもある「白砂青松」のよう…列車にしっかりと世界観があり、乗車しただけでも「天橋立に来た!」「丹後に来た!」と満足感が得られるのも、人気の秘訣だ。
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