三重県紀宝町の「道の駅」でウミガメの赤ちゃん誕生 オープン30年で初のふ化 一時保護のカメ放流会も
三重県紀宝町の「道の駅紀宝町ウミガメ公園」で今月、30年前の施設オープン以来初めてウミガメの卵がふ化し、2匹の赤ちゃんが公開された。来館者は子ガメが脚をパタパタさせて泳ぐ様子を「かわいい」と見つめながら、絶滅危惧種であるウミガメの生態や保護活動について学んでいる。
本格繁殖4年目で待望の子ガメ生まれる
同公園は1993年、紀宝町の国道42号線沿いにオープン。全国で唯一「ウミガメの水族館がある道の駅」としてウミガメの保護や飼育、展示を続けている。大プールでは悠々と泳ぐウミガメの姿を間近に見られ、土日祝日にはカメに直接触れられる「カメタッチ」が子どもたちの人気を博している。 一方、施設内での繁殖はこれまで設備や態勢が整わず、成功していなかった。しかし、本格的な繁殖に取り組んで4年目となる今年は、6月から7月にかけてメスのアオウミガメ「みえ」が施設内で3回にわたって産卵。人工ふ化器で管理した結果、8月5日以降に2匹の赤ちゃんがふ化した。 飼育員の伊藤柊也さんは「産卵してくれたときは鳥肌が立つくらい嬉しかった。子ガメはまだ体も弱く、みんながうまく育ってくれるかは分からないが、1匹でも多く育てたい」と話す。
台風7号接近の影響で規模縮小して放流会
施設には現在、30匹近くのウミガメが飼育されているが、どれも絶滅が危惧されている希少種だという。 混獲で陸に上がってしまったウミガメを一時的に保護し、海に返す活動も続けている。12日には夏休み中の親子を招いて放流会を開く予定だったが、台風7号接近の影響で規模を縮小。ウミガメを調査している三重大学の学生らが主体となり、少人数でウミガメ1匹を施設の前に広がる井田海岸から海に放した。 14、15日は臨時休業したが、台風7号による被害はなく、16日から通常営業している。年中無休。水族館は午前9時から午後6時まで。 (文・関口威人、動画撮影・加藤直人/nameken)