【アンタレスS回顧】父ダノンレジェンドの持ち味を存分に発揮したミッキーヌチバナ テーオードレフォンは12着大敗も要注意
ペースが落ちなかった向正面
2024年4月14日に阪神競馬場で開催されたアンタレスSは、人気のテーオードレフォンをほかの先行型がマークする形になり、番手につけたスレイマンがレースを支配。我慢比べになったことで、ミッキーヌチバナが力を発揮した。 【皐月賞2024 推奨馬】前走タイムはGⅠ馬に匹敵、圧勝する能力あり! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) アンタレスSが阪神に移った2012年以降、良馬場でも49秒台が出る高速決着が目立つ。遅くても50秒台で、雨が多い春のダートは総じて時計が速い。そんななか、51秒台の決着だったのはナムラビクターが勝った2014年と今年の2回しかない。 時計が遅いからレベルが低いと断じるのは安易というもの。ナムラビクターはその後、重賞で2着2回、3着3回。そのうち翌年のアンタレスSは1分49秒7で走り、3着に入った。急坂がある阪神ダートではスタミナ比べというか、我慢比べに陥ることはよくあること。今年もそんな競馬だった。 今年は直前でオープン特別を逃げ切ったテーオードレフォンの存在が大きかった。 4番人気に推され、当然マークされる立場になった。序盤、すんなりハナに立ったところを外からスレイマンに並びかけられた。後ろにはハギノアレグリアス、ヴィクティファルスら人気どころも離されまいとついてくる。この隊列により、前が重たい競馬になった。 序盤からのラップは12.7-11.3-13.2-12.2-12.1。コーナーでペースを落とすと、後ろのプレッシャーが押し寄せる。向正面に入ると1秒ペースアップし、それが続いたことで、全体的に追走が苦しくなっていった。 1000m通過1分1秒5は結果的にハイペースとなり、そこから12.1-12.6-12.3-12.7と後半は失速傾向。残り600mは我慢比べになった。 4コーナーで一旦は12.3とわずかにペースを上げるも、そこまで。先に抜けたスレイマンは根気よく食い下がったが、ミッキーヌチバナとの競り合いに屈した。
父ダノンレジェンドの適性
勝ったミッキーヌチバナは重たい先行集団の背後につけ、マイペースを決め込んだ。勝負所も一気にいかず、仕掛けを我慢。タイミングを待った。太宰啓介騎手の手綱が冴える。先行勢に早めにとりついていれば、スレイマンに逃げ切られていただろう。 太宰騎手の重賞制覇は2016年平安Sのアスカノロマン以来、約8年ぶり。アスカノロマンとのコンビではその年のフェブラリーSでも3着に入っている。ダート中距離での我慢比べに強く、ミッキーヌチバナとの共通点を感じる。 父ダノンレジェンドはJRA重賞初制覇。地方では先日、大井のブリリアントCを勝ったサヨノネイチヤなど多くの重賞勝ち馬を輩出している。 産駒は4月7日までの時点でJRA通算89勝をあげており、うちダートで83勝、芝は6勝と父と同じくダート特化の産駒が多いが、ダ1400m以下で52勝に対し、1700m以上も27勝と父ほど短距離特化でもない。なかでも1800mの単複回収値は136、114と高い。距離に関係なく穴種牡馬であり、穴党にとって心強い。 父は確固たるスピードを武器としたが、最後の我慢比べにも非常に強かった。産駒もそんな特徴をしっかり受け継いでおり、最後に時計を要する場面で脚が上がらないタイプが多い。ミッキーヌチバナもダートの持久力勝負で好走を続けてくれそうだ。