《プライドを掲げて》我が道を極め続ける人たち 空羽ファティマ
私は年に2回、2週間から3週間弱かけて娘のいる京都に行く。そう書くと気楽なママの時間を過ごして豪華みたいに思われるだろうが、観光目的ではなく大病を治してもらったご奉仕活動のために動くので、自宅のある前橋にいる時よりも本気で動き回り、ずっとヘビーワークで声とエネルギーを使いまくる。 私の趣味は、京都の裏道で出会うカフェ巡りと、季節の衣替えと、娘とワンコのお世話と、そしてもちろん、ライフワークのキャメルンシリーズの朗読コンサートなのだが、何をやるにも大切なのはゆるく、そして的確にアンテナを建てること。 「なんか、こっちの道がいいな」とか、「この店に入ってみよう」とか。その答えはスマホに聞いてもわからない。ググれば、心に関すること以外のほとんどのことはその「四角いドラえもん」が、答えを教えてしまう世の中だから、人は自分で工夫したり、考えたり悩んだりすることがほとんどなくなった。だからこそ、想像力を高めたり、ご縁が結ぶ力を活性化させることが必要だ。 20代に世界を旅していた時に一番使った力は、「人の本心を観る力」。日本人ツーリストというだけで金持ちと見られ、カモになるから近づいてくるその人が、「本当に親切心からなのか?」は、旅の運命の分かれ目になる。
忘れられないことがある。電車で目の前に座った優しそうなおじさんがオレンジジュースをくれたが、そこに催眠薬が入れてあり眠らされて持ち物全てを盗まれてしまうかも?としばらく飲めなかったことだ。 おじさんは、ニコニコして異国から来た〈たぶん彼らから見たら小さな子供のように見える20代の〉女の子に、親切心で美味しいオレンジジュースをくれたと素直に信じて飲めたらいいのだが、実際に睡眠薬サギは多く、簡単に信用しては危なかった。 本心を見極めようとじっとおじさんの目を見て話をしながら緊張して手の中で温まっていくジュースと反比例して私の心は冷たくなり、結局は飲んだのだが、一人旅はそこをおそろかにしたら大変なことになり、冒険にはリスクが伴うものなのだ(日本での旅はそこまでのリスクを感じずに旅ができていたのだが、去年は新幹線の中で制服を着た乗務員にスーツケースを盗まれそうになりびっくりしたこともあった)。 前回、2024年5月に京都に行った時、「こっちでカードリーディングする場所があればいいな」と思いながら御所から1本入った裏道を歩いていると、魔女のお茶屋さんという看板を見つけ入ってみた。ご縁ができてそこで半年後にカードができることになり、滋賀県や浜松、東京からも春友さんたちが受けに来てくれて楽しかった。そして10月の今回は「次は京都で朗読コンサートできたらいいなあ」と思っていたら、ふと訪ねた京都大学の吉田寮のホールで来年実現することになったのだぁ!! そして、その直後に千本通のライブハウス天Qでも開催が決まった! うひょお。すげえ。京都って、世界中の人が祈るから願望が実現しやすいエネルギーが溢(あふ)れてるのかっ!? まあ、そりゃあ、私が常に「こうしたい」という気持ちを強く持って生きていることが大きいけど。その想いを「こういうことをしたいと思ってる」ってことを言葉にして相手に伝えている故に、というのはある。「求めよ、されば与えられる」だ。はっきりとした願望を持ち、そこに向かって行動し、言語化することだ。京大といえば東大を凌(しの)ぐと言われてる日本最高峰の大学だが、学生自身が全てを管理している築100年を超える吉田寮の存続を大学側と裁判まで起こしていることについて関心は前からあった。 実際、足を踏み入れてみると……まじで、いろんな意味ですごかった。そこには現代の日本にはないものがあった。