お支払いはお金じゃなくてモノで! 物々交換ショップに人が集まる訳。赤字でも営業を続ける店長に聞いた 「サルベージSHOPレトロカルチャー」愛知県岡崎市
「すると、次第に売り上げが気になるようになり、モノを救うために始めた事業なのに、これでは当初の目的とは違うなと。そして、うちが不要だと判断したものを販売するんじゃなくて、みんなが不要なモノを持ってきて、必要なモノを持って帰る方がいいなとひらめいたんです」
おしゃれな色のランドセルが棚に並んでいた。
誰もがいつでも気軽に来られる物々交換スタイルを確立
「当初は入場料や参加費をもらうことも考えました。でも、モノを救うには『誰もがいつでも気軽に』来られなければ意味がないなと考えて、お子さんでもふらりと来られるように、完全に無料にすることにしました」と古田さん。
こうして、現在の「自宅の不要品を持ち込み、誰かの不要品を自由に持ち帰ることができる」というスタイルを確立。持ち込んだモノよりも多くもらいたいという場合は、相当額をこの店に募金する。また、何も持ち込まないけれど欲しいモノがある時は、店内にある瓶に500円を募金し、こちらも店の運営資金にするというシステムだ。
「2020年のスタート時は、どのくらいの人が来てくれるか予想もつかず、1カ月のうち1週間だけオープンする形で数カ月続けたのですが、毎回、お客さんが多すぎて、お店の前に大混雑をつくってしまったんです」と古田さん。不要品の物々交換には多くのニーズがあった。 試行錯誤を経て、現在は週4日、午前中に営業する形式に。1日平均20人くらいが、1人当たり約10個の不要なモノを持ち込み、必要なモノを選んで持ち帰る。
「物々交換をせず、不要なモノを持ち込むだけで帰る人もいますし、何時間も商品を眺めるだけで楽しんでいく年配の方もいます」とゆうこさん。日課のように立ち寄る人もいて、地域の“遊べるコンテンツ”としても浸透しているようだ。
「どうしても売れ残り、日にちが経ってしまったものなどは処分場へ持ち込みますが、それは月に1度、軽トラで半分くらいの量だけです」と古田さん。持ち込まれる商品数から考えると、かなりの量のモノを救済できているといえるだろう。 商品は持ち込まれ、人件費は夫妻が店頭に立って削減するとしても、家賃や光熱費などがかかるはず。古田さんに運営の費用面について尋ねると、「赤字です、赤字!」と笑う。「サルベージSHOP レトロカルチャー」の現金収入は、1年間約30万円の募金のみ。それに対して2階建ての倉庫の家賃は年間180万円だという。差額は古田さんの自腹で賄い、運営しているという状況だ。 「日々、利益が出る方法を模索していますが、なかなか難しいですね。古着の着物を使ったレンタル事業なども試しましたが、うまくいきませんでした。現在、『サルベージSHOP レトロカルチャー』は完全なボランティアです。でも、お金を稼ぐこと以外で幸せを感じられるのって豊かなことなんですよ」と古田さん。
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