2つの道路に接した土地は税金が高い!相続税の計算「二方路線影響加算率の調整」のポイント【税理士の解説】
2つの道路に面している土地は、利便性が高いとみなされるため土地の評価額が上がります。それに伴って相続税も高くなってしまうため注意が必要です。具体的な計算方法について相続専門税理士が解説します。 【ランキング】都道府県「遺産相続事件率」…1~47位
2つの道路に接していれば「二方路線影響の加算」が必要
二方路線影響加算率調整では土地の相続税評価額が高くなり、相続税も増えることになりますが、正面と裏面の道路に接している土地を相続する人であれば必ず行わなければならない計算です。この記事を読んでしっかり確認しましょう。 二方路線影響加算率は正面と裏面の道路に接している土地の評価に必要 二方路線影響加算率による調整が必要な土地は、図表1のように正面と裏面の両方で道に接している土地です。 正面と裏面で道路に接していれば、両方の道路から出入りができ、利便性がアップすると考えられます。相続税の財産評価では、利便性がアップした分を反映させるため、二方路線影響加算率で評価額を加算する必要があります。 評価額を計算するときは、基準となる道路を正面路線と呼び、反対側の道路を裏面路線と呼びます。 二方路線影響加算率による調整…最大7%土地の評価が高くなる 二方路線影響加算率による調整では、裏面路線の路線価に二方路線影響加算率をかけた値を加算します。 二方路線影響加算率は、土地の地区区分によって図表2のように定められています。商業系の地区では2つの道路に接することでより利便性が高まることから、加算率の値は高く設定されています。高度商業地区と繁華街地区の二方路線影響加算率は0.07となっており、最大で7%土地の評価が高くなります。
どっちが正面? どっちが裏面? 二方路線影響加算率による調整で気をつけなければならないのは、どちらの道路を正面路線にし、どちらの道路を裏面路線にするかという点です。 相続税の財産評価では、路線価が高いほうの道路を正面路線とします。実際にどちらを正面として土地を使っているかは考慮しません。 どちらを正面路線にするかの判断を間違えると、土地の評価額は異なる結果になり、相続税の金額を間違えることになってしまいます。 ◆2つの道路の路線価を比較する 2つの道路の路線価を比較するときは、道路からの奥行に応じた奥行価格補正率で補正した後の路線価を比較します。 単純に路線価の高低だけではなく、奥行価格補正率まで考慮した路線価で正面を決めるという点に注意が必要です。 図表3の例では、2つの道路の路線価を比較した結果、路線価が高いほうの道路Bを正面路線とします。 道路A:路線価200,000円×奥行価格補正率1.00=200,000円(裏面路線) 道路B:路線価300,000円×奥行価格補正率1.00=300,000円(正面路線) 一部だけが裏面に接している場合には加算率が減額調整される 図4の土地のように、一部だけが裏面路線に接している場合は、二方路線影響加算率の値を、図4のa+bの距離に占めるaの距離の割合で調整します。つまり、道路に接していない部分については、加算率が減額されることになります。 二方路線影響加算率の調整方法を算式で表わすと次のようになります。