イチローの指導を受けて1年半、3年生となった新宿ナインが圧巻の打撃を披露!大勝も最後まで全力プレーで相手へのリスペクト怠らず【24年夏・東東京大会】
第106回全国高校野球選手権東東京大会◇1回戦◇都立新宿 28―1 桐ヶ丘・三商・千早連合(5回コールド)◇2024年7月8日◇明治神宮球場 【トーナメント表】夏の東東京大会 8日までの結果
ある程度、力の差があることは否めないとは思われた試合。しかし先制したのは3校連合だった。初回に4番川村 一平投手(三商・2年)の二塁打などで1点を奪ったのだ。しかも、その裏、川村投手は都立新宿を0に抑える。試合としてはそれなりにいい展開になるのかなとも思われた。 しかし、2回に都立新宿が5番中川 翔太捕手(3年)の安打から勢いをつけると、四球や相手失策もあって、6点が入った。実は、この中川主将の打撃こそ、“しっかりとラインに入れていく”という形の、今同校が取り組んでいるスイングだ。これが出来ることで逆方向への打撃もスムーズになっているという。 都立新宿には、2022年11月、イチロー氏が練習指導に訪れたということでも話題になった。その時に1年生だったのが、中川主将ら今の3年生である。 その際にイチロー氏から学んだ、スイング軌道をしっかりとライン入れるというレベルスイングをこの1年半、徹底してきたのだ。 長井正徳監督は「自分に合っているのかどうかということを確かめながら取り入れています」と言う。そもそも都立新宿は「自分たちで考えてやって行こう」ということをモットーとして徹底しているチームである。新しい取り組みに関しても、“まずやってみて、そこから考える”という姿勢である。これは、前任の田久保裕之監督時代から、積極的にトライしてきたスタイルで、新宿野球部に定着してきているのだろう。 「勉強も野球も、ちゃんとやろうよ」 イチロー氏の言葉の中でもっとも響いたのはこれだったという。進学校でもあり文武両道をモットーとしている都立新宿の選手たちは「二兎を追う者は、二兎を追わなくては得られない」ということを知った。どちらも中途半端にするのではなくて、どちらもちゃんとやって行くという姿勢が都立新宿野球部の大きな力になっている。 この日の試合は、力の差もあって、3回には打者二巡以上の22人で6連続得点、11連続得点などもあって、大量の17点が入った。代打などで多くの選手が出場する形にもなったが、それぞれが「ちゃんとやって行く」姿勢を示して、大差があっても、今の自分たちのベストを示すことで、相手に対してのリスペクトも怠らなかった。 こうした都立新宿の戦い方は、高校野球として評価されるものだったのではないかと思う。 連合チームは、初回に先制こそしたものの、とてつもない大差になってしまった。それでも、精いっぱい戦えたし、相手も終始ベストを尽くしてくれていたということで、十分に納得のいくものだったのではないだろうか。