69歳ひとり暮らし、八ヶ岳の一軒家で年金月3万円の生活とは?「森に暮らして30年。手作りと物々交換が基本」
八ヶ岳の一軒家に住み、家も食べ物も洋服も手作りで楽しく日々を過ごすウリウリばあちゃんはただいま69歳。ユーチューバーとしても活躍中です。離れて暮らす夫と息子との関係や、豊かに暮らすコツを語ります(構成=篠藤ゆり 撮影=藤澤靖子) 【写真】薪にする木は家の周りで調達 * * * * * * * ◆夫婦の家計は独立採算制 19歳で上京してからしばらくは阿佐谷で、20代後半からは山梨県の大月にある築百数十年の古民家に住んでいました。36年前に息子を授かってから、森の中で子育てをしたくてここ八ヶ岳のふもとに一軒家を建てて引っ越してきたのです。 夫は私と違って東京が大好き。だからそれぞれ好きに暮らしています。家計も独立採算制です。 現在の私の主な収入は、年金3万円弱に加えて、染めた衣類などをインターネットやクラフト市で売って得たもの。売り上げは少ないですが、どうにか生活している──と言いたいところなんですが、なかなか思うようにいかないわね。 絣(かすり)の着物を織りたくて染色や機織りを始めたけれど、1反織り上げるのに気が遠くなるくらい時間がかかるから、そんなものを売っていたんじゃ生活ができない。 そこで、比較的簡単にできる洋服や染めたものを作ってはいるものの、それだって1日に何点も染められないし大変です。
以前はTシャツ1枚に8000円くらいの値をつけても売れたけれど、最近はみなさんお財布の紐が固いから、もう投げ売り状態なんです。売上は年間で80万円くらいかな? 息子が社会人になってからは、月に3万円送金してくれていますが、それはいざという時のために使わず貯金しています。 私はADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けていて、いわゆる事務作業が苦手なんです。計算も不得意だからちゃんと把握していないけれど、1ヵ月の収入がすごく少ないのは確か。でも、ぜ~んぜん平気です。私、お金を使わずに生きるのが得意なの。 たとえば、光熱費。ここは標高が高いから冬はかなり寒いのですが、太陽光をふんだんに取り込めるサンルームがあるので、昼間は暖房を使わずそこで過ごし、朝夕は薪ストーブで快適。灯油代がかからず助かります。 夜は9時頃に寝ちゃうから、電気代もそんなにはかかりません。薪にする木は家の周りでいくらでも調達できるし、薪割りはいい運動になる。 灰は食器の洗剤やガラスの汚れ落としや、作物の肥料にもなります。モノを作るのが好きなので、山で植物の蔓や茎、皮を取ってきて、籠や布も作るの。 家のどこかが壊れたら自分で直すし、「今度はここをこう直そう~」と考えていると、むしろウキウキするんです。
【関連記事】
- 【後編】69歳八ヶ岳でひとり暮らし、人間関係が苦手でADHDの診断も。少ない年金でも幸せに暮らすコツとは?
- 年金3万円68歳、八ヶ岳の一人暮らし「麹や手づくり味噌でお金をかけず豊かな食卓に。オススメは簡単に作れて美味しい小豆味噌」
- 年金3万円68歳・八ヶ岳一人暮らし「かつて東京で寂しくて泣いた私も今はすごくラク。人と会わなくて構わないし、なるべく外出せずやりたいことだけしたい」
- 年金3万円68歳・八ヶ岳の一人暮らし「離れて暮らす夫とは独立採算制。薪や段ボールで調理も暖もとる、ひたすら倹約の日々」
- 年金3万円68歳・八ヶ岳の一人暮らし。基本「ケチ」で友達とのバラ園も「外で待ってる」。髪は自分で切り、買い物も行かず