「午後10時から午前2時の間」ではない…最新の研究が証明した「本当の睡眠のゴールデンタイム」
睡眠で成長ホルモンが最も分泌されやすい時間帯はいつか。スリープトレーナーのヒラノマリさんは「従来、睡眠のゴールデンタイムは午後10時から午前2時の間と言われてきたが、必ず夜10時に寝ないといけないわけではない。今の研究では、成長ホルモンが最も分泌されやすい時間帯は『眠りはじめて最初の90分』で、何よりもこの時間帯を充実させることが重要だ」という――。 【図表1】「眠り始め」のノンレム睡眠に注目しよう ※本稿は、ヒラノマリ『人生を変える睡眠術』(大和出版)の一部を再編集したものです。 ■普段4時間半しか眠れない人にアドバイスしたこと ある運輸会社の社長の方で、「普段4時間半しか眠れない」という方の睡眠コンサルをしたことがあります。「眠っても途中で目が覚める」、また「ずっと仕事のことを考えて寝つけない」などの悩みがあり、講演で出張の機会が多いことも、ぐっすり眠れない要因になっていました。 こうした場合、いきなり7時間睡眠までもっていくのは難しいです。 そこで、「せめて5時間半か6時間は眠れるようになること」を目指して、アドバイスさせていただきました。 そして1カ月後。この方は、5時間半~6時間近くまで睡眠時間を伸ばせるようになったのです。 一番効果的だったのは、入浴時間に気をつけたことと、朝日を浴びるようにしたことでした。
■睡眠不足が続くと、若い人でも部分白髪が出る 人間の体内時計は、朝に日光を浴びることで調節されます。 くもりや雨の日でも、日光の光は届いているため、天気が悪くても屋外に出ることが大切です。 でも、運輸業は朝が早く、冬場だと日が昇らないうちから仕事をすることもあるため、この方は眠りと覚醒の切り替えがうまくいっていなかったのです。 そこで、寝る数時間前の入浴と、毎日日課にしていた散歩の時間を変更したら、よく眠れるようになったと喜んでいらっしゃいました。 それまでは目の下のクマを人に指摘されることも多かったようですが、1カ月頑張ったら、仕事の場でも「最近クマが薄くなったね」「顔色がよくなった」「元気そうになった」と言われることが増えたそうで、「本当にコンサルを受けてよかった。すごく嬉しかった。感動した」とおっしゃっていました。 疲れた顔は、やはり仕事相手に対してもマイナスな印象を与えてしまうので、ご本人もそれを気にしていたのです。 睡眠の良し悪しが外見に影響する例は、ほかにもたくさんあります。 先日、美容師さんから聞いた話では、睡眠不足が続くと、若い人でも部分白髪が出たりするとのこと。 また、睡眠不足だと肌のターンオーバーも乱れるので、肌荒れや吹き出物の原因にもなります。肌の調子が悪いと自分でも気になりますし、人に与える印象も変わってくるので、気をつけたいものです。 ■見た目が変わると人生が変わる 実は私も昔はすごく肌荒れするタイプで、睡眠に気をつけるようになる前は、ほぼいつもニキビができていました。 友人にもそういうイメージを持たれていたのですが、ここ数年は「肌がきれいになったね」と言われるようになり、睡眠の肌への影響を実感しています。 そして、しっかり眠るようになってからは、何より太りにくくなったと感じています。 一方、睡眠不足が続くと、食欲を抑制するホルモンの分泌が悪くなって、食欲が増したり、代謝にも影響が出てくることがあります。 ボディビルの大会に出ている友人たちは、「どれだけ食事に気を遣っていても、睡眠の状態が悪いと体脂肪が落ちない」「睡眠時間が短いというだけで体重が増えてしまう」と言っています。彼らも、特に大会前は睡眠に気をつけているそうです。 このように睡眠は、全体の印象、お肌、体型など、いたるところに影響しています。 少しずつでも睡眠時間を伸ばすだけで、人生にもプラスの効果があらわれます。 好感度の高い見た目のためには髪型、メイク、ファッションなどももちろん大切ですが、内側からの改善策として、睡眠にもぜひ目を向けてほしいと思います。