森保ジャパンはドイツでのエクアドル戦で何を得たのか?
ドイツ遠征中の日本代表が27日、デュッセルドルフ・アレーナで行われた国際親善試合でエクアドル代表と0-0で引き分けた。2-0で快勝した23日のアメリカ代表戦から先発メンバー全員を変更。ボランチに柴崎岳(30、レガネス)、1トップに古橋亨梧(27、セルティック)、トップ下には南野拓実(27、モナコ)らを起用したがゴールは遠かった。カタールワールドカップ代表メンバー発表前で最後の一戦で、森保ジャパンは何を得たのか。
GKシュミットがPK止めるファインセーブ
向かって右方向へダイブしながら、身長197cm体重88kgの大きな体を目いっぱい伸ばした。エクアドルにPKを与えてしまった後半38分のピンチ。GKシュミット・ダニエル(30、シントトロイデン)が日本のゴールマウスを死守した。 対峙したエクアドル屈指の点取り屋、エネル・バレンシア(32、フェネルバフチェ)の右足から放たれた強烈な弾道を読み切り、両手で弾き返した直後。DF長友佑都(36、FC東京)らにねぎらわれたシュミットは、両手を握り締めて雄叫びをあげた。 「コーナーキックで嫌なところにずっとボールを入れられていて、それをしのぐのがけっこう大変で。そこで危ないプレーもありましたけど何とかゼロで抑えられて、さらにPKも止めることができたのでよかったです」 試合後のフラッシュインタビューに呼ばれたシュミットは前半アディショナルタイムにも、右コーナーキックから放たれたヘディング弾に体勢を崩しながらも必死に踏ん張り、最後は右手一本で阻止するファインセーブを演じていた。 同じデュッセルドルフ・アレーナで、2-0で快勝したアメリカ戦から中3日。ともにカタールワールドカップに出場するエクアドルに押し込まれながら、何とか持ち込んだスコアレスドローの収穫を問われれば真っ先にシュミットがあげられる。 森保一監督(54)もフラッシュインタビューの第一声でこう語っている。 「押されるシーンも多かったなか、前半から選手たちが粘り強く、自分たちのペースに持っていこうと辛抱強く戦ってくれた。後半にもピンチはありましたが、最後まで我慢強く続けていけば、われわれのペースに持っていけるということです」 しかし、逆の意味での収穫もあった。 アメリカ戦と同じ4-2-3-1システムのまま、先発メンバー全員を入れ替えた一戦。現状のままならば、ドイツ代表との初戦が11月23日に迫っているカタールワールドカップの戦力として、カウントしづらい選手が何人かいた点だ。 まずはゲームキャプテンを担ったボランチの柴崎。攻守両面で試合の流れから消える時間が多いまま、後半22分に遠藤航(29、シュツットガルト)と交代した。 田中碧(24、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)と組んだダブルボランチは守備の強度が低く、さらに柴崎が期待された攻撃面でも違いを生み出せない。味方へのバックパスやリターンパスが多く、最後までエクアドルの脅威になりえなかった。 森保ジャパンで存在感を放てず、システムが4-2-3-1から4-3-3へ切り替えられた昨年10月からはリザーブに回った柴崎は、こんな言葉を残したことがある。 「周りの期待値や描くストーリー、あるいはいろいろな意見がありますが、それらは個人の感想であり、願望になると思うし、そこに対して僕は何も意見しません」